超・老老介護の夫婦世帯、共倒れリスク常に…要介護認定にためらい
超・老老介護の夫婦世帯、共倒れリスク常に…要介護認定にためらい

7月上旬、関東地方に住む女性(91)は、夫(95)のベッドから湿った布団を引っ張り降ろした。廊下を引きずりながら、洗濯物を干す部屋として使っている和室へ運び込み、布団乾燥機のホースを差し込んで10分ほど乾燥させた。「最近、おねしょの頻度が増え、たびたび布団が汚れるようになって……」と、女性は諦めたような表情で話す。

2年で急激に衰えた夫、介護の負担が集中

背が高く大病知らずだった夫は、退職後は地域の人にパソコンを教え、「生涯現役」が口癖だったが、この2年ほどで急激に衰えた。足腰が弱って自力で歩けなくなり、外では車いす、家では歩行器が欠かせない。トイレに間に合わないことが増え、おむつを使うようになった。

夫は現在、要介護2。訪問看護を週1回、デイサービスを週3回利用しているが、在宅時の排せつの介助や通院の付き添いは欠かせない。料理や洗濯、掃除なども1人でこなさなければいけなくなった。夜間に夫の排せつの介助で何度か起きるため、睡眠不足が続いている。施設入所も頭をよぎるが、経済的な不安が拭えない。

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60歳代になった3人の子どもはそれぞれ家庭を持ち、遠方で暮らしている。「もう自分たちの老後を考え始めてもいい年齢。迷惑はかけたくない」と話し、「長生きするのも大変だ」とつくづく思う。

夫婦2人暮らしは健康不安が顕著、地域の支援が鍵

東京都が2020年、都内の自宅で暮らす65歳以上の高齢者約4700人に悩みごと(複数回答)を尋ねたところ、夫婦2人暮らしの人の57%が「配偶者や家族の健康・病気」と回答。子どもと同居する人の43%、子どもや孫らと同居する人の39%を上回った。「将来、配偶者に先立たれた後の生活」(32%)も顕著に多かった。

北海道社会福祉協議会ケアラー支援推進センター参事の中村健治さんは「高齢になると、体力の低下や突然の疾病などで、昨日できたことが突然、今日できなくなる。特に、夫婦2人世帯は互いに頼っているため、相手に何かあったときの不安やダメージが大きくなりがちだ」と指摘する。

介護する側も要介護認定に抵抗、共倒れのリスク

10年ほど前から認知症で要介護1の夫(95)を介護している関東地方の女性(87)は昨年、腰を圧迫骨折した。夫は物をしまう場所を忘れたり、何度も同じことを聞いてきたりするが、体は元気。夕方に近所を散歩するのが日課で、女性も付き添ってきた。

ところが、女性は骨折後、足を引きずって歩くようになり、付き添いは困難になった。今は夫が散歩に出掛ける直前に携帯電話を手渡し、ズボンのポケットに入れるのを確認してから、「いってらっしゃい」と声を掛けて見送る。「道に迷わないかという不安はあるが、家で閉じこもっているのも不健康だから」と悩みを語る。

家事も以前のようにはかどらず、気分転換になっていたスーパーへの買い物も宅配に切り替え、家の中で過ごす時間が増えた。「こんなことになるとは想像していなかった」と話す。

それでも、女性は現時点で要介護認定を受けることは考えていない。「他人に家に入られることには抵抗がある。不安がないとは言えないが、今は何とかやれているから」と語る。

中村さんは「超・老老介護は常に共倒れのリスクにさらされている。『家』のことで終わらせてはならず、訪問相談や地域ぐるみの声かけなどを通じて、病気や介護に関する知識を提供し、ケアラーの負担を減らしていくことが重要だ」と指摘している。

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