柔道男子日本代表の鈴木桂治監督は、カザフスタン南部のアルマトイで8月初めに開催された国際合宿に参加し、スポーツ界の勢力図が急速に変化しているとの認識を示した。約30カ国から700人近い選手が集まった合宿には、多くのロシア勢が参加しており、その影響力の強さに驚かされたという。
ロシア勢の存在感と国際合宿の狙い
2年後のロサンゼルス五輪に国としての出場が認められそうな情勢の中、ロシアは10月の世界選手権に参加することが確実視されている。今回の合宿には、アジア大会と世界選手権に出場する男女代表計三十余名が日本から参加し、偵察の意味も込めて各国の強豪と交流した。
乱取りは午前に5本、午後に6本の計11本と、日本に比べて本数は少ないが、その分中身の濃い実戦形式の稽古ができたという。日本代表に手合わせを申し込んできたのは主に各国の2番手以下の選手で、彼らにとっては自国の指導者にアピールする場となった。今回は全て選手の判断で相手を選ぶ方式を採用し、自分の嗅覚で選ぶよう指示した。
ロシアからの国籍変更選手の増加
鈴木監督が特に驚いたのは、ロシアの影響力が強まっていることだ。アジア大会に参加するバーレーンやアラブ首長国連邦、サウジアラビア、タジキスタンなどの代表選手の多くが、ロシアから国籍を変更した選手だったという。2年前のパリ五輪を欠場するなど、ロシアに科された対外的な活動への制約が影響したとみられる。
他国の指導者との情報交換によると、彼らは日頃はロシア国内で練習し、国際大会のときだけ転籍した国の代表として戦うという。今回の合宿でも、参加者の3、4割をロシア系選手が占めていた。
アジア大会のライバル増加と今後の展望
ロシア勢の浸食を受けるアジア大会は、日本勢のライバルが増えることを意味している。ロス五輪の雲行きを占う試金石にもなるだろう。「安全牌」と呼べる相手は確実に少なくなっており、これがアジアと世界の柔道界の現実だと鈴木監督は指摘している。



