出入国在留管理庁は、在留外国人が日本語や社会規範を学ぶ「日本語・生活学習プログラム(仮称)」の創設に向け、欧州など10カ国・地域の同種の「社会統合プログラム」を調査した結果を公表した。公的機関による詳細な調査は初めてとみられ、今後の日本での制度設計に役立てられる。
ドイツとフランスでは受講が義務
「日本語・生活学習プログラム」は、外国人住民の社会への適応を促す体系的な学習制度「社会統合プログラム」の日本版。政府は今月18日、制度設計を検討する有識者作業部会の初会合を開き、プログラムの構成や学習内容など5つの論点を示した。あわせて「諸外国調査の結果概要」を提示した。
調査対象はフランス、ドイツ、英国、オランダ、スイス、デンマークの欧州6カ国と米国、豪州、韓国、台湾の計10カ国・地域。プログラム受講が義務的と考えられる国はドイツ、フランス、オランダで、総人口に占める外国人比率は2024年時点でドイツ19.1%、フランス14.0%、オランダ16.0%となっている(日本は今年1月時点で3.3%)。
各国のプログラム内容と費用負担
ドイツでは、連邦移民・難民庁が05年から「統合コース」を実施。原則16歳以上が対象で、ドイツ語能力が十分でないと判断された新規移民らは受講が義務づけられている。1授業45分で語学は600授業、社会規範を学ぶオリエンテーションは100授業。24年には約19万人が新規受講した。連邦予算は26年で約1962億円。受講者も原則として半額を負担し、受講者負担の総額は約30万円。2年以内に修了すると、半額が還付される。
フランスでは、移民統合局が16年から「共和国統合コース」を実施。EU域外の出身者で原則18歳以上の外国人は受講が義務で、100~600時間のフランス語学習と4日間の「市民教育」を行う。24年には語学を約5万人が、市民教育を約11万人が受講した。国家予算額は不明だが、移民統合局の受け入れ統合予算の総額は24年で約253億円。受講する外国人の自己負担はないが、その後の試験は有料という。
オランダは罰金規定、韓国は一部有料化
オランダでは、社会雇用省と自治体が22年から現行制度のオランダ語教育と、社会規範を学ぶ「参加宣言プログラム」を実施。原則としてEUと欧州経済領域(EEA)域外出身で16歳以上の新規移民とその家族、難民は「市民統合義務対象者」とされる。語学の時間数は自治体ごとに異なり、参加宣言は12時間。家族移民らは自己負担となる場合がある。言語教育を期限内に修了しないと罰金最大約18万円、参加宣言を修了しないと罰金約6万円が科される場合がある。
韓国では、外国人比率が4.2%で、法務部が09年から「韓国移民統合プログラム」を実施。受講は義務ではなく、移民全般が対象。在留資格の変更や更新時に評価の材料とされる。韓国語と文化、社会の学習が6段階で計515時間あり、25年は約9万人が受講した。国家予算のうち「社会統合プログラム履修体制運営」費と「外国人社会統合支援」費は計約209億円。受講者は無償だったが、25年1月から一部、有料化された。



