データセンターは「事務所」か「工場」か、印西の住民訴訟で争点に
データセンターは「事務所」か「工場」か、印西の住民訴訟で争点に

人工知能(AI)に欠かせないサーバーを集積させ大量のデータを処理する「データセンター(DC)」の建設を巡り、千葉県印西市の住民が建築確認の取り消しを求めた訴訟が千葉地裁で争われている。主な争点は、DCが「工場」や「倉庫」かどうか。現行法がDCを想定していないことから、多くは「事務所」などとして扱われ、立地規制が緩いため駅前や住宅地にまで進出。住民とトラブルになっている現状がある。

マンションの目の前に高さ52.7メートルのDC

原告は、印西市の北総線千葉ニュータウン中央駅近くで建設計画が進む大規模DCに隣接するマンションの住民ら。今年3月、DCが建築基準法に適合していると判断した民間の指定確認検査機関を相手取り、建築確認の取り消しを求める訴訟を地裁に起こした。

このマンションに隣接する大規模商業施設の駐車場跡地で、高さ52.7メートルのDCの建設が始まった。マンションとの敷地間の距離は11メートル。完成すれば高い壁が目の前に立ちはだかることになる。

住民側はDCの意義について否定しているわけではない。安全性や景観上の懸念から、商業地域や生活空間になじむ施設ではないと主張し、裁判を起こした。

「工場」なら建築不可、現行法にDC区分なし

このエリアでは、建築基準法上の用途区分で「工場」や「倉庫」を建てることはできない。だが、昭和25年に制定された建築基準法ではDCの区分は存在せず、多くのDCは「事務所」や「その他」として扱われることが通例で、今回も「その他」として手続きが進められた。

住民側は、サーバーが並び、大量の電力を消費して継続的にデータという価値を生み出す実態は、明らかに「工場」や「倉庫」と同等だと主張する。また、日照権の侵害や排熱、圧迫感などにより「健康で文化的、平穏な生活を侵害される蓋然性がある」とも指摘。原告側の及川智志弁護士は「DCは、そもそ人の生活があるところに建ててはいけない建物。人はほとんどおらず、設備中心の工場だ」と話す。