「声のパブリシティー権」認める判決 声優・津田健次郎さんは敗訴 東京地裁
「声のパブリシティー権」認める判決 津田健次郎さんは敗訴

生成AI(人工知能)を使って自身の声を模倣した動画が無断で公開されたとして、声優の津田健次郎さんが動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の運営会社に動画の削除を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁(高橋彩裁判長)であった。津田さん側の代理人弁護士によると、判決は、著名人の名前や容姿など顧客をひきつける力の経済的価値を保護する「パブリシティー権」について、一般論として「声も含まれる」とする判断を示した。

「声の権利」明記されず、判決が後押しに

日本の法律では「声の権利」が明記されておらず、裁判で争われる例もほとんどなかった。生成AIの発展と普及により、著名人の声を模倣したコンテンツの作成が容易になるなか、今回の判決は声優らの権利保護の後押しになりそうだ。

一方、今回の裁判で津田さん側が問題とした動画はすでに削除されているとして、津田さんの声の権利が侵害されたかについては判断せず、削除請求も退けた。

問題の動画は188件、フォロワー21万人超

訴状によると、問題の動画アカウントは2024年7月以降、津田さんの声を模したナレーションを使い、都市伝説や心霊現象を紹介する内容の動画を少なくとも188件投稿。提訴された25年11月時点で、21万人以上のフォロワーがいた。

津田さん側は裁判で、一連の動画は津田さん本人がナレーションをしているかのように混同させるもので、有名ブランドなどの無断利用や便乗を禁じる不正競争防止法に違反する、などと主張してきた。

削除命令の必要性を巡り争う

今年5月には、動画の投稿者がアカウント自体を削除し、問題の動画は表示されなくなった。津田さん側は「動画データが完全に消えたかどうか外部から検証ができず、再表示される可能性もある」として、地裁による削除命令が必要だと訴えていた。

被告のティックトック側は、ユーザーが津田さん本人の声と混同する恐れはないと反論。動画のデータは完全に消えており、削除命令は不要だとして、請求を退けるよう地裁に求めていた。