29歳の女性を突然襲った足裏の激痛。複数の医療機関を訪ねても「原因不明」「疲れのせい」と片付けられ、診断がつくまでに長い時間を要した。後に若年性関節リウマチ(JIA)と判明し、壮絶な治療の過程を経て、彼女は自ら看護師の道を志すことになる。
原因不明の痛みとの葛藤
新井さん(仮名)は29歳の頃、朝起きると足裏に強い痛みを感じるようになった。整形外科や内科を渡り歩くも、「特に異常はない」「疲れがたまっているんでしょう」と言われるばかり。痛みは次第に両足に広がり、歩行すら困難になることもあった。
「原因がわからないことが何より辛かった」と新井さんは振り返る。症状は数カ月続き、ついに関節リウマチを専門とするリウマチ科を受診。そこでようやく「若年性関節リウマチ」と診断された。発症年齢は16歳未満が多いが、成人後にも発症するケースがある。
治療の道のりと副作用との闘い
子どもが2歳になった頃、新井さんは専門的な治療を開始することを決意。かかりつけ医にその旨を伝え、最初に処方されたのはリウマトレックス(一般名:メトトレキサート)という飲み薬だった。この薬は関節の炎症細胞の増殖に必要な葉酸の働きを抑えることで効果を発揮し、関節リウマチ治療の第一選択薬とされている。
「確かに効果はありましたが、副作用が強くて大変でした。週1回の服用でしたが、飲んだ翌日は吐き気や倦怠感、食欲不振がひどくて。関節の痛みは抑えられたけれど、重い副作用には悩みました」と新井さんは語る。
それでも服用を続けて2年が経過したある日、異変が起きた。「足裏だけでなく、足首、ひざ、肩にも激痛が起こるようになりました。急に薬の効果がなくなったんです」。すぐに主治医に相談したが、医師は「検査結果の数値は安定しているから、増量しましょう」と応じた。しかし、増量しても痛みは引かず、重い副作用に苦しむ状況が続いた。
医師への直訴と生物学的製剤への切り替え
「このままではダメだ」と思った新井さんは自ら情報を調べ、主治医に「あまりに痛くて、生活の質が下がっているので、生物学的製剤を使ってほしい」と訴えた。その結果、レミケード(一般名:インフリキシマブ)という点滴薬の使用が決まった。「これで痛みが劇的に改善しました」と新井さんは振り返る。
生物学的製剤は、関節リウマチの炎症や骨破壊を引き起こすサイトカインや免疫細胞を狙い撃ちにする作用がある。レミケードはその一種で、最初は頻繁に点滴し、徐々に間隔を空けていく。新井さんの場合、最終的には2カ月に1度のペースに落ち着いた。
しかし、この治療も5年ほどで効果が激減。そこで皮下注射のエンブレル(一般名:エタネルセプト)に変更し、2週間に1回の自己注射を始めた。さらに7年後には皮下注射のアクテムラ(一般名:トシリズマブ)に切り替え、現在も2週間に1回の注射を続けている。
「負担が大きい」新薬の値段
生物学的製剤は高額で、患者の経済的負担は大きい。新井さんは「薬代は月に数万円から十数万円かかることもあり、公的医療保険の高額療養費制度を利用しても自己負担は重い」と話す。治療を続けるためには、制度の活用や医療費助成の申請が欠かせない。
現在、新井さんは自身の経験を生かし、看護師として働いている。「同じ苦しみを抱える患者さんに寄り添える看護師になりたい」と語る彼女の姿は、病を乗り越えた強さを感じさせる。



