ささやくATM、特殊詐欺防止へ超音波スピーカー設置 島根県大田市
特殊詐欺防止の超音波スピーカーATM、島根県大田市に

島根県大田市の山陰合同銀行大田支店のATMに、特殊詐欺被害を防ぐため超音波スピーカーが設置された。利用者がATMの前に立つとセンサーが感知し、耳元でささやくように注意を促す音声が流れる仕組みだ。

超音波スピーカーの仕組み

このスピーカーは、立命館大客員教授で知覚心理学が専門の北川智利さん(54)と、島根県警大田署、山陰合同銀行が連携し、実証実験として設置した。超音波の特性を利用し、特定の方向だけに音声が届くよう設定。ATMを操作している人だけに聞こえ、周囲にはほとんど聞こえない。

北川さんは「特殊詐欺の被害者は犯人側の巧妙な手口で、急いで振り込まなければならないと心理的に追い込まれがちだ」と指摘。思考の幅や視野が狭くなり、周囲の注意が届きにくい状態で、耳元から注意音声が流れると「なぜここで声がするのか」と我に返り、振り込みをやめる効果が期待されるという。

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被害防止への期待

被害者が犯人からの指示を電話で聞きながらATMを訪れる際、右手でタッチパネルを操作し、左手でスマホを持って左耳に当てるケースが多いと想定。空いた右耳に音声が届くようにした。音声は「その振り込み、今少しだけ待ってください」「相手は本当に知っている人ですか。そのお金は本当に必要ですか」「あなたの大切なお金を守るために、ここで一度、手を止めてください」などと流れる。この音声は、大田市出身で声優コンテストで優秀賞に輝いた県立三刀屋高3年の松下響さん(18)が吹き込んだ。

県警によると、2025年に大田市内では9件(1649万円)の特殊詐欺被害が発生し、うち6件がATMからだった。

実証実験と今後の展開

北川さんと大田署、合銀は今後、1年間かけて音声で振り込みをとどまった人数や警察に相談が寄せられた件数などを基に効果を検証する。大田署は「効果が確認されれば、設置を広めていきたい」としている。

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