ルーヴル美術館が所蔵する15~16世紀のルネサンス美術56点を集めた「ルーヴル美術館展 ルネサンス」が、東京・六本木の国立新美術館で開催中だ。絵画、版画、彫刻、工芸など多様な作品を通して、国境やジャンルを超えた交流が生んだ成熟した文化を紹介する。
横断的な視点で見るルネサンス
同館の宮島綾子主任研究員は「ルネサンスに横串をさすのが本展の趣旨。国・地域・ジャンル別に作品を分けて年代順にたどる、ルーヴルの常設展示では見えてこない側面に光を当てた」と説明する。例えば、ラファエロら一流画家の作品は、この時代に生まれた銅版画によってヨーロッパ中に広まり、絵皿や小型ブロンズ像に転用されるほど流行したことが示される。
初来日したダ・ヴィンチの傑作
横断的なルネサンス文化を象徴する肖像芸術の傑作、レオナルド・ダ・ヴィンチの《女性の肖像》(通称《美しきフェロニエール》)は、本展で初来日した。古代ローマの貨幣にならい、肖像画や肖像メダルは横顔を描くのが一般的だったイタリアで、レオナルドは早くから人物を斜め前から描くネーデルラント発祥の「四分の三正面観」を採用した。
さらに本作では「顔がより正面を、体はより横を向くねじれが強調され、動きが生まれている」と宮島さん。瞳の位置も制作中に微修正されたといい、「移り変わる人間の複雑な感情や動きを止まった画面の中に描こうと試みたのでは。レオナルドにしか当時できなかったことだと思う」と語る。
関連作品とともに深まる理解
本作の周囲には、レオナルドの庇護者フランソワ1世の肖像や、15世紀末の北イタリア女性の装いを表す彫像などが並ぶ。宮島さんは「関連作品と一緒に見られる重層的な空間にしたかった。比べて見ることで、描かれた文脈への理解が深まるはず」と強調した。展覧会は12月13日まで。