台湾では30年前に共同親権が導入されたが、それ以前は父親単独親権が一般的だった。弁護士の高志明氏と社会福祉士で心理師の林秋芬氏が、台湾の共同親権のリアルな実態を明かす。日本では今春、共同親権が施行される予定だ。
台湾の民法に「親権」という言葉はない
高志明氏によると、台湾の民法には「親権」という言葉は存在せず、「親権行使」や「親権者」といった概念もない。代わりに「親の権利と義務」として規定されている。これは、親権が子どもの利益のために行使されるべきものであり、親の権利ではなく義務であるという考えに基づく。
共同親権導入の背景
30年前、台湾では離婚後の子どもの養育をめぐり、父親単独親権が主流だった。しかし、子どもの福祉を重視する観点から、共同親権が導入された。高志明氏は「当時は大きな議論があったが、子どもの利益を最優先にするという理念が浸透した」と語る。
共同親権下での課題
共同親権が導入された後も、実際の運用には課題がある。例えば、親同士の対立が激しい場合、子どもの養育に悪影響を及ぼすことがある。林秋芬氏は「親同士のコミュニケーションがうまくいかないケースでは、子どものストレスが大きくなる」と指摘する。
日本の共同親権施行に向けて
日本では今春、共同親権が施行される。台湾の経験から、日本が学ぶべき点は多い。高志明氏は「日本の制度設計には、子どもの利益を最優先する視点が不可欠だ」と強調する。
家事・育児の分担と家族の疲弊
連載「ほしいのは『つかれない家族』」では、家事や育児、介護の分担をめぐる家族間の摩擦が、かつて心地よい存在だった家族を「つかれる存在」に変えてしまう現象を考察している。別居・離婚はその行き着く形の一つであり、共同親権はその後の子育ての在り方を左右する。
台湾の事例は、日本の家族法改正に向けた重要な参考資料となるだろう。



