刑事裁判をやり直す再審制度の見直しを目的とした刑事訴訟法改正案は16日、参院法務委員会で与党などの賛成多数により可決された。17日の参院本会議で成立する見通しで、戦後初めての再審制度見直しが実現する。改正法は公布から3カ月以内に順次施行され、施行後5年ごとに制度の再検討が行われる。
野党は反対、証拠開示の縮小懸念
立憲民主党、国民民主党、公明党、共産党の各党は、開示される証拠の範囲が狭まり、無罪につながる証拠が埋もれる恐れがあるとして反対した。現行法には再審手続きに関する規定が乏しく、不十分な証拠開示や審理の長期化が問題視されてきた。静岡一家殺害事件で死刑とされた袴田巌さん(90)が2024年、再審無罪とされてから43年を経て無罪が確定したことを受け、法務省は見直しに踏み切った。高市早苗首相は「反省のもとに改善を行っていく」と述べた。
スクリーニング手続き新設、審理迅速化
改正法案では審理の迅速化を目指し、再審請求をスクリーニング(選別)する手続きを新設する。裁判所が再審の要件に明らかに当たらないなどと判断した場合、遅滞なく棄却する。この手続きを通過した後でなければ、有罪が確定した裁判で明かされなかった証拠の開示などには進めない。
証拠開示の条件と検察の不服申し立て
証拠開示に関しては、裁判所が一定の要件のもとで検察に証拠の提出命令を出すことができる。ただし、①再審請求理由との関連性、②裁判所が再審の可否を判断するうえでの必要性、③開示による弊害——を考慮し、相当と判断した場合に限られる。検察は命令に対して不服申し立て(抗告)を行い、関連性や必要性の有無を争うことも可能だ。
目的外使用禁止と罰則、公益目的でも違法に
検察が開示した証拠の「目的外使用」を罰則付きで禁じる規定も設けられる。被害者のプライバシーなどを守るためとされ、再審手続きやその準備の目的以外で使用することを禁じる。捜査や裁判の問題点を訴える公益目的であっても、証拠をそのまま公開すれば違法となる。
検察の抗告は原則禁止、例外は十分な根拠が必要
再審開始決定に対する検察の抗告は「原則禁止」とされ、「十分な根拠」がある場合に限って可能となる。これは検察が守るべき規範にすぎないが、検察が抗告した理由は速やかに公表される。
立憲・公明の修正案は否決
立憲民主党と公明党はこの日、裁判所が再審請求理由との関連性を問わず職権で証拠の提出・開示を命令できる制度などを盛り込んだ修正案を提出したが、賛成少数で否決された。



