SHEが7月16日に公開した「酷暑時代の女性の働き方白書」によると、働く女性の91.9%が夏の暑さによる「働きづらさ」を感じていることが明らかになった。調査は2026年6月29日から7月1日にかけて、235名の女性を対象に実施された。
約9割が業務パフォーマンスの低下を実感
調査結果では、約9割の女性が仕事のパフォーマンス低下を実感しており、夏の暑さが単なる季節の不快感にとどまらず、日々の業務に影響を及ぼしている実態が浮き彫りとなった。具体的な困りごととしては、「疲れやすい」「通勤がつらい」が上位に挙げられた。
自由回答では、「職場に着く頃には体力が残っていない」「日傘やハンディファンなどで荷物が重くなる」といった通勤時の負担に関する声が寄せられた。また、汗をかいた状態で冷えたオフィスで体調を崩したり、汗疹によって仕事に集中できなくなったという回答もあり、通勤時の疲労や体調不良が勤務中まで持ち越され、業務パフォーマンスに継続的な影響を及ぼしている実態が明らかになった。
4人に1人が「酷暑退職」を検討
調査では、4人に1人が暑さを理由とした退職・転職を考えたことがある、または身近で見聞きした経験があることが判明した。一方で、勤務先に暑さへのサポートや制度が「ない」と回答した人は57.7%にのぼり、働く女性が暑さによる負担を感じる一方で、企業側の対応は十分とは言えない実態が浮き彫りとなった。これにより、酷暑による働きづらさを個人の工夫だけに委ねるのではなく、企業側も働き方や職場環境を見直す視点が今後より重要になると考えられる。
約7割が改善意向、しかし実際の行動にはギャップ
夏の働きづらさについて「改善したい」と考える人は約7割に達したが、「実際に働き方や環境を変えたい」と回答した人は約3人に1人にとどまった。改善を望みながらも、現実的なハードルを感じている人が少なくない実態が明らかになった。また、夏季限定で実現したい働き方では「フルリモート勤務」が最多となり、暑さに応じて自分で働く場所を選べる環境へのニーズの高さも示された。
「40℃時代」の働き方予測
SHEは、日本の夏が年々過酷さを増し、危険な暑さが当たり前になりつつある状況を踏まえ、海外の制度や取り組みをヒントに「40℃時代」の日本の働き方を予測した。
まず、UAEやカタールのように夏季の日中に屋外作業を制限する制度を参考に、日本でも気温と企業の就業時間が連動する「気温シフト制」が広がる可能性がある。具体的には、7:00〜11:00と16:00〜20:00をコアタイムとし、日中の暑さを避けた時間帯に働くスタイルが普及。その結果、昼間の空き時間を副業やスキル習得に充てる人が増え、「朝夕は本業、昼は副業」というライフスタイルが出現するかもしれない。
次に、オーストリアのチロル地方で見られるワーケーションを参考に、日本でも夏季限定で自然の多い涼しい地域で働く「避暑地ワーク」が新たな選択肢になる可能性がある。企業が夏季限定の「サマーオフィス」を開設したり、自治体が企業向けの避暑地ワークプランを整備する動きが広がると考えられる。
さらに、オランダの在宅勤務に伴う光熱費補助制度を参考に、日本でも在宅勤務時の冷房代補助や冷感グッズの支給、避暑地ワーク補助など「暑さ手当」が福利厚生の新定番になる可能性がある。働く人の企業選びにおいて、給与や勤務地に加え、「企業の暑さに向き合う姿勢」が判断軸の一つになるかもしれない。
また、「コクハラ(酷暑ハラスメント)」という言葉が誕生。これは、炎天下での訪問営業や不要な対面会議を求めることを指す。対策例として、午後イチの対面会議を避けることや、夏季のあいさつ回りは控えて秋に実施することなどが紹介されている。
さらに、酷暑が日常となる中で、これまでオフィス選びで重視されてきた「駅から徒歩○分」や「日当たり良好」に代わり、地下直結や空調効率の高いオフィスが新たな選択肢になる可能性がある。地下オフィスの集積が進み、「地下オフィス街」が新たに形成され、飲食店などのテナントも出店することで、出勤から退勤まで地上に出ずに過ごせる環境が整い、夏でも快適に働ける新たなビジネスエリアが誕生する日が来るかもしれない。
酷暑時代の働き方実践例と「環境適応スキル」
今回の調査では、夏の暑さに合わせて働き方を工夫している女性たちの声も寄せられた。自由回答を分析したところ、その工夫は大きく3つに分類された。
1つ目は「フリーランスで自由な働き方」。働く時間や場所を自分で調整できる環境を選ぶことで、暑さによる負担を軽減しているケースで、「フリーランスになり、自分の体調などに合わせたリモートワークができるようになった」「夕方から夜にかけて活動している」といった声が寄せられた。
2つ目は「リモートワーク・ハイブリッド勤務」。通勤による暑さを避け、自分に合った環境で働く工夫を実践しているケースで、「在宅勤務ができる部署に異動となり、リモートワークができるようになった。おかげで自分に合った環境で快適にリモートワークができるようになった」「リモートと通勤を混合して気分転換するようにしている。どちらかだけよりも気持ちが楽です」といった声が寄せられた。
3つ目は「涼しい時間帯に出勤」。フレックスタイムなどを活用し、暑さのピークを避けて移動するケースで、「出社する際は、なるべく朝早めの涼しい時間に出社するようにしていました」「フレックスを使い、朝早めに出社することで、まだ日差しが本格的ではない時間に外を歩くようにしている」といった声が寄せられた。



