改正個人情報保護法が成立、AI開発を優先
2026年7月14日、AI(人工知能)開発を促進するための改正個人情報保護法が成立した。この法律は2年以内に施行される予定で、現行法で原則必要とされていた本人の同意なしに、個人情報を第三者に提供することを可能にする。特に、病歴や犯罪歴などの「要配慮個人情報」も対象となる点で、プライバシー保護の観点から大きな論議を呼んでいる。
産業界の要望と政府の判断
現行法では、企業や病院が保有する顧客の購買履歴などの個人データを第三者に提供するには、本人の同意が必要だった。しかし、AI開発を急ぐ産業界からは、膨大な情報について個別に同意を得るのは難しいとの声が強まり、政府は法改正に踏み切った。政府は「性悪説に基づいて法律を作ると何もできなくなる」と述べ、改正を正当化している。
医療分野での活用想定
例えば医療分野では、診療記録を学習したAIのサービスを製薬会社などに販売し、創薬や診察に活用することが想定されている。これにより、医療の効率化や新薬開発の促進が期待される一方、患者の病歴が実名で開発業者に渡る可能性に対する不安が指摘されている。
漏洩リスクと監視体制の課題
改正法では、個人情報の提供を受けるAI開発業者に対する事前審査制度が設けられていない。このため、悪意のある業者が情報を取得する危険性や、過失による個人情報の漏洩が後を絶たない現状が懸念されている。政府は、AIが情報を学習した後は個人を特定できない状態になると説明するが、削除したはずの氏名などの個人情報がAIによって復元される可能性も否定できないとしている。
公表義務と基準の策定
改正法では、企業などが個人情報の提供先であるAI開発業者の名称や情報の利用目的を公表する義務を負う。政府は、ホームページなどに目立つ形で公表する工夫が必要だと述べている。また、政府は国会で、実名提供が認められるのはAI学習に不可欠な場合などに限られると答弁した。具体的な基準は今後、個人情報保護委員会規則で定める予定であり、厳格な基準を作り、提供可能な範囲を絞り込むことが欠かせない。
課徴金制度の新設と監視強化
改正法は、重大な違反に対し課徴金納付を命じる規定を新設したが、不十分との指摘もある。個人情報保護委員会が悪質な業者を事前に把握できるよう、人員の拡充を含めた監視体制の強化が求められている。



