政府は2027年度予算案において、防衛費を5兆円超とする方針を固めた。これは岸田文雄首相が掲げる防衛力強化の方針に沿ったもので、過去最大規模となる見通しだ。関係者によると、財務省と防衛省の調整が進められており、年末の予算編成過程で正式決定される。
防衛費増額の背景
岸田首相は2022年12月に決定した国家安全保障戦略で、2027年度までに防衛費をGDP比2%に引き上げる目標を設定。これに伴い、2023年度からの5年間で総額43兆円の防衛費を確保する計画が進んでいる。今回の5兆円超要求は、この長期計画の一環として位置づけられる。
防衛省は、ミサイル防衛システムの強化やサイバー攻撃対応能力の向上、無人機の導入など、新たな安全保障環境に対応するための装備品調達を重点的に要求する見込みだ。特に、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に伴う長距離ミサイルの開発・配備が大きな柱となる。
財源確保が最大の焦点
一方で、増大する防衛費の財源確保が課題となる。政府は法人税、所得税、たばこ税の三つの税目を引き上げる方針だが、具体的な税率や実施時期は未定だ。また、歳出改革による捻出も検討されているが、社会保障費の増大などで厳しい財政状況が続く。
財務省は、防衛費増額による国債発行増加を避けるため、確実な財源措置を求める立場。一方、与党内からは「国民負担の増加に理解を得る必要がある」との声も上がっている。政府は、11月までに財源法案を国会に提出する予定で、与野党協議が焦点となる。
国際情勢と日本の役割
防衛費増額の背景には、中国の軍事力拡大や北朝鮮のミサイル開発、ロシアのウクライナ侵攻など、厳しさを増す安全保障環境がある。岸田首相は「日本は自国の防衛力を強化し、日米同盟の抑止力を高める必要がある」と強調している。
専門家からは「防衛費増額は避けられないが、透明性のある議論と国民の理解が不可欠」との指摘もある。政府は、防衛力強化と財政健全化の両立を図るため、効率的な予算配分や装備品の国際共同開発などを推進する方針だ。
今後の見通し
来年度予算案は、12月下旬に閣議決定される見通し。その後、通常国会で審議され、2027年度からの執行が始まる。防衛費増額の是非や財源のあり方をめぐり、国会論戦が活発化することが予想される。



