2021年末、皇族数の確保に向けた岸田政権下の有識者会議の報告書に「養子案」が盛り込まれたことを知った安倍晋三元首相は、周囲に「よかったね」と語った。側近はこの言葉を記憶している。改正皇室典範の柱の一つは、旧11宮家の男系男子を養子として迎え、皇族とすることを可能とするものだ。安倍氏は第2次政権の発足に先んじて実現の必要性を訴えていた。
安倍氏の主張と保守系団体の動き
日本会議の機関誌「日本の息吹」(2012年8月号)によれば、2012年5月、安倍氏は東京都内で行われた「皇室の伝統を守る国民の会」の設立総会に出席し、「戦後皇室を離脱した11宮家の皇室復帰について、選択肢として考慮しないのはおかしい」と述べた。この発言は、高まる女性・女系論に対する保守派の「カウンターパンチ」と位置づけられた。
麻生太郎氏の「よくできている」発言
一方、麻生太郎氏も同報告書について「よくできている」とつぶやいたとされる。麻生氏は自民党内で皇室典範改正に強い影響力を持ち、保守派の意見を代弁する立場として知られる。この発言は、養子案が政府・与党内で一定の支持を得ていることを示唆する。
皇族数確保の背景と課題
皇族数は減少の一途をたどっており、2021年時点で18人。うち男性皇族は5人と、皇位継承の安定性が懸念されている。有識者会議は2021年12月、旧宮家からの養子受け入れを含む報告書をまとめた。しかし、皇室内部からは戸惑いの声も聞かれる。男系男子の継承を堅持しつつ、皇族数を確保するという難しいバランスが求められている。
今後の展望
改正皇室典範の実現には国会での議論が不可欠だ。野党からは「拙速だ」との批判もあり、各党間の溝は深い。安倍氏や麻生氏の影響力は依然として大きいが、国民的な合意形成が課題となる。



