在日コリアンの14歳の少女ソヒ(恒那)は、朝鮮中級学校で朝鮮舞踊に打ち込む一方、朝鮮初級学校の校長である父(井浦新)の民族の誇りへのこだわりに反発する。本作は、在日コリアン3世の孫明雅監督の長編デビュー作で、彼女自身の経験が色濃く反映されている。
世代間ギャップが浮き彫りに
父はなりたい職業につけず苦労した世代であり、ソヒは日本人の少女と一緒にKポップアイドルのライブに行こうとする。国と民族に対する思いの違いが生活実感として伝わり、観客の胸にストンと落ちる。ソヒはライブのチケット代を捻出するため、父が祖国から授与された勲章を売ってしまう。これが父との衝突を引き起こす。
父が努力して得た勲章と、ソヒが朝鮮舞踊の大会で目指すトロフィー。その違いは何か。現実の生活で新旧の価値観が対立するように、在日コリアンたちも揺れる思いを抱えていることがよく分かる。
「パッチギ!」との比較
本作を見て、21年前に公開された映画「パッチギ!」を思い出す。あの作品では1960年代の京都を舞台に、日本人と在日コリアンの若者の間にある深い溝が激烈に描かれていた。一方、「トロフィー」では、変わらないものは変わらないが、若者たちの感性はよりしなやかになったように思える。
読売新聞文化部の近藤孝記者は「日本でKポップや韓国ドラマを普通に楽しめるようになった現状を、在日コリアンはどう思っているのだろうか。本作を見て、彼らの真情の一端に触れたような気がした」と評している。
映画「トロフィー」はテアトル新宿などで公開中。上映時間は1時間42分。



