政府は、人工知能(AI)技術の急速な発展に伴うリスクに対応するため、AIの利用目的や影響度に応じて規制の強度を変える「段階的規制」を柱とするAI規制法案を、来年1月に召集される通常国会に提出する方針を固めた。複数の政府関係者が18日、明らかにした。
法案の骨子と背景
法案は、AIを「高风险」「限定的リスク」「最小限リスク」の3段階に分類。高风险AIには厳格な規制を課し、事前の適合性評価や透明性確保を義務付ける。一方、最小限リスクAIは規制対象外とする方向だ。政府は今年秋にも有識者会議を設置し、詳細な基準を詰める。
背景には、生成AIの普及による偽情報拡散やプライバシー侵害、雇用への影響などへの懸念がある。欧州連合(EU)が昨年、世界初の包括的AI規制法「AI法」を成立させたことを受け、日本でもルール整備が急務となっていた。
規制の対象とスケジュール
高风险AIの対象として、医療診断、自動運転、雇用判断、信用評価などが想定される。政府は法案提出に先立ち、今秋にもパブリックコメントを実施。与党内での調整を経て、来年1月の通常国会に提出、早期成立を目指す。
また、政府はAI開発事業者向けのガイドラインも同時に策定中で、法案と合わせて実効性のある規制体系を構築する方針だ。
専門家の見解
AI規制に詳しい東京大学の田中教授は「段階的アプローチは柔軟性があり、イノベーションを阻害しない点で評価できる。ただし、国際的な整合性や規制の実効性をどう確保するかが課題だ」と指摘する。
一方、経済界からは「過度な規制は日本のAI産業の競争力を損なう」との懸念も上がっている。政府は産業振興とのバランスを重視し、規制強化に慎重な姿勢も見せる。
国際的な動向と日本の対応
EUのAI法は今年2月から段階的に施行されており、日本企業への影響も懸念される。政府は日本の規制をEUと同等以上とすることで、国際的な信頼確保とデータ越境移転の円滑化を図りたい考えだ。
また、米国や中国も独自のAI規制を模索しており、日本はG7の枠組みなどで国際ルールづくりにも積極的に関与する方針。法案の内容次第で、日本のAI戦略の方向性が問われることになる。



