トランプ米政権は9日、国際刑事裁判所(ICC)を制裁対象に指定した。オランダ・ハーグに本部を置くICCは「法の支配と国際法秩序への攻撃」と強く反発。日本、カナダ、フランス、ドイツ、英国などは制裁を非難し、ICCへの支持を表明した。
ノーベル平和賞発表直後の制裁措置
制裁の発表は、ノーベル賞委員会が9日、ICC判事を経験した元国連人権高等弁務官ナビ・ピレイ氏へのノーベル平和賞授与を発表した直後に行われた。
ICCがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に逮捕状を出したことに反発しているトランプ政権は8月、ICCの赤根智子所長らを制裁対象に指定しており、今回の措置によりICCへの圧力を一段と強めた。
米国務長官「ICCを終わらせる」
マルコ・ルビオ米国務長官は、ICCを「ならず者の裁判所」と呼び、同裁判所との取引を禁止すると表明。「ICCが脅迫をやめないなら、われわれがICCを終わらせる」と主張した。
その上で「トランプ大統領は、ICCが米国人を訴追することを決して許さない」と述べ、今回の措置によってICCの資源を断ち、「運営能力を麻痺させる」と強調した。
今回の制裁措置により、銀行取引やクレジットカード決済、ソフトウェアなどの利用に影響が出る可能性がある。ただし、一部に適用除外措置も設けられている。
ICCと国際社会の反応
ICCは声明で、制裁は「法の支配と国際法秩序の基盤そのものへの攻撃であり、誰も法の上に立つことはないという単純な原則を揺るがすものだ」と述べ、「歴史がこの瞬間を裁くだろう」と警告した。
日本、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、英国の8か国は9日、外相共同声明を出し、ICCへの支持を表明。「米国によるICCへの制裁発表は遺憾であり、強く反対する」と述べた。
また、国連のアントニオ・グテレス事務総長は、米国の決定について「ICCを重要な柱とする国際刑事司法の実現に向けたわれわれの共同の取り組みに対する深刻な打撃だ」と述べた。
欧州連合(EU)も制裁は「極めて遺憾」とし、ICCが活動を継続できるよう「必要なあらゆる措置を講じる用意がある」と表明した。
ネタニヤフ首相は制裁を称賛
一方、パレスチナ自治区ガザ地区での犯罪容疑を巡りICCから逮捕状が出されているネタニヤフ氏は、米国の措置を称賛し、「ICCは裁判所ではない。世界中の法を順守する民主主義国家と国家主権という概念そのものに致命的な脅威をもたらす政治機関だ」とSNSに投稿した。
ドナルド・トランプ米大統領は先月、国連総会の演説でICCを「制御不能な機関」と批判し、全加盟国に対し直ちに脱退するよう呼びかけた。