文部科学省は2027年度、看護学部などを設置する大学に対し、卒業後に地元で働くことを条件に学生を募集する「地域枠」の創設を支援する方針を固めた。3か年で計41大学での設置を目指す。若手看護師に地域への定着を促し、医療体制の維持につなげる狙いがある。
地方の看護師不足の背景
地方の大学を卒業した看護師は、大都市圏に就職して地元に残らないことも多く、地方での看護師不足の一因となっていた。文科省は、看護師を養成する学部や学科を置く大学に、医学部で設置が進む地域枠と同様の仕組みの整備を目指す。
医学部の地域枠では、自治体による奨学金の返済を免除する代わりに、学生に卒業後、都道府県内の医療機関などで約10年間の勤務を求めるケースなどがある。
公募と補助の内容
今回、文科省は、東京や大阪、愛知など都市部の6都府県を除く41道県から、看護学部・学科などに地域枠を設置する大学を公募し、1大学あたり1億円を補助する。2027年度は10大学、2028年度は16大学、2029年度は15大学を支援する予定だ。
地域枠を置く大学には、早い段階から医療機関などで実習経験を積めるカリキュラムを作るためにかかる費用や、実習を担当する職員の人件費などの補助を行う。道県と連携し、医学部と同様、学生が奨学金の免除などを受けられる仕組み作りにも期待する。
看護師確保の課題と今後の見通し
看護師らの全国の有効求人倍率は2倍程度で、医療機関は確保に苦慮している。地方の病院で看護師を確保できずに病棟の閉鎖が相次ぐなど、地域医療に影響が出ている。若手の確保も難しくなっており、看護師を養成する専門学校は少子化などで定員充足率が2025年度に80%を下回った。大学は100%近いものの、卒業後に4割が県外に流出する実情がある。
文科省の担当者は「地域枠の学生には実習を通じて地域医療の魅力や大切さを知ってもらいたい。地域で働くことに意欲や情熱をもつ看護師が多く誕生してほしい」と話す。
文科省は2027年度予算の概算要求で関連経費を盛り込んだ。併せて医、歯、薬の各学部などの地域枠拡充も後押しする方針だ。