南海フェリー、2028年3月末で事業撤退へ 関西と四国結ぶ鉄道連絡船の灯消える
南海フェリー、2028年3月末で事業撤退へ

南海フェリーが、2028年3月末をもって和歌山港と徳島港を結ぶ航路から撤退することを発表した。同社は南海電鉄を擁するNANKAIグループに属し、難波から和歌山市・和歌山港へ特急「サザン」を運行する鉄道とフェリーを組み合わせたルートで、大阪と徳島を結んでいた。運賃の安さから隠れた人気ルートとして親しまれ、特に徳島県民にとって関西への出張、就職、大学進学、帰省の足として長年利用されてきた。

高速バスとLCCへの旅客流出が打撃

本州と四国を結ぶ航路はかつて多数存在したが、3本の本州四国連絡橋の完成により、国鉄連絡船の宇高連絡船や仁堀連絡船は姿を消した。民間航路も廃止が相次ぎ、旅客の移動手段は高速バスが主流に。さらに、民主党時代の高速道路1000円政策が影響し、橋完成後も需要のあったトラック輸送主体の航路も減少。近年は四国から遠方への移動でLCC(格安航空会社)へのシフトも進み、フェリーの利用者は減少の一途をたどっていた。

「フェリーかつらぎ」老朽化も撤退の要因

撤退の背景には、主力船舶「フェリーかつらぎ」の老朽化も挙げられる。同船は1991年就航と35年以上が経過し、更新には多額の投資が必要となる。南海フェリーは「利用者の減少と船舶の老朽化により、事業継続が困難と判断した」とコメントしている。鉄道とフェリーを組み合わせた「鉄道連絡船」としての利便性は高く評価されてきたが、時代の流れには抗えなかった。

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公共交通の先行きに不安の声

交通ライターの谷川一巳氏は「筆者も何度か『鉄道旅のお伴』として利用させてもらった。時代の移り変わりはあろうが寂しい思いである」と述べている。公共交通機関の維持が難しくなる中、四国と関西を結ぶ新たな移動手段の確保が課題となる。南海フェリーの撤退は、地域間の交通網の脆弱化を象徴する出来事と言えよう。

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