2003年に熊本県水俣市で計19人が犠牲となった「水俣土石流」は、発生から23年を迎えた。7月20日、壊滅的な被害が出た宝川内集地区では、未明から遺族らが「慰霊之碑」に手を合わせ、静かに故人を悼んだ。
23年目の慰霊、遺族の思い
2003年7月20日午前4時20分頃、集地区で土石流が発生。活動中の消防団員らを含む生後9か月から75歳までの15人が死亡し、深川新屋敷地区でも家族4人が命を落とした。被災者の会3代目代表を務める吉海寿次さん(59)は「23年たっても忘れられない。これから先は何もないように見守ってという気持ちを込めた」と焼香し、祈りをささげた。
家族の喪失と子供たちの成長
吉海さんは土石流で母(当時64歳)と妻(同36歳)を失った。小学5年だった長男の寛希さん(33)と2年だった長女の美鈴さん(30)は重篤なけがを負い、数か月間入院した。現在、県外で暮らす2人は今春と昨秋に結婚し、亡き妻と母に心の中で報告した。吉海さんは「近所の人たちに『安心したね』と言われるのが一番うれしい」と目尻を下げた。
被災地の現状と課題
集地区では被災者が年々亡くなり、遺族らは高齢化し、世帯数も半減。古里の再興が課題となっている。吉海さんは「被災者の高齢化が進む中、地域の絆を守りながら、防災意識を次世代に伝えていきたい」と語った。



