日産自動車の中国事業が、業績回復の鍵を握る重要な局面を迎えている。世界最大の自動車市場である中国では、電気自動車(EV)シフトが急速に進み、競争が激化。日産は販売台数の減少に直面しており、現地戦略の見直しが急務となっている。
販売不振が続く中国事業
日産の2023年度の中国販売台数は前年比約24%減の79万3,000台と、大幅な減少を記録した。2024年度上半期(4~9月)も前年同期比約14%減の33万9,000台にとどまり、回復の兆しは見えない。特に、内燃機関車の需要減少が響いており、EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)への切り替えが遅れている。
中国市場でのシェアは、2020年の約6%から2023年には約4%に低下。一方、BYDなどの中国メーカーはEV販売を急増させ、市場シェアを拡大している。日産の中国事業は、2023年度に約1,000億円の営業損失を計上するなど、収益面でも苦戦が続く。
EVシフトへの対応の遅れ
日産は、中国市場向けにEV「アリア」やPHEV「e-POWER」を投入しているが、販売は伸び悩んでいる。アリアの2023年の販売台数は約5,000台と、同クラスのEVと比較して低調。中国の消費者は、より低価格で航続距離の長いEVを求めており、日産の製品は競争力が不十分とされる。
専門家は「日産は中国市場のEV需要の急増に追いついていない。特に、価格競争が激しいエントリークラスでは、中国メーカーに大きく水をあけられている」と指摘する。日産は2026年までに中国でEVとPHEVの販売比率を40%以上に引き上げる目標を掲げるが、現状は10%未満にとどまる。
現地パートナーとの協業強化
日産は、中国の合弁パートナーである東風汽車との協業を強化し、EVの共同開発や生産効率の向上を図る。2024年には、東風と共同で開発したEV「Venucia V-Online」を投入したが、販売は低調。さらに、日産は中国市場向けに低価格EVの投入を計画しているが、具体的な時期や車種は未定だ。
業界アナリストは「日産が中国市場で生き残るためには、現地のニーズに合ったEVを迅速に投入し、コスト競争力を高める必要がある。また、充電インフラやバッテリー調達など、エコシステム全体での協業が不可欠だ」と述べる。
グローバル戦略への影響
中国事業の不振は、日産のグローバル戦略全体に影響を及ぼす。中国は日産にとって世界最大の市場であり、販売台数の約3分の1を占める。中国での収益悪化は、北米や欧州など他地域での投資余力を削ぐ可能性がある。
日産の内田誠社長は「中国事業の立て直しは最優先課題。現地の変化に迅速に対応し、持続可能な成長を目指す」と述べている。しかし、競争の激化や規制の強化など、課題は山積している。
今後の展望
日産は、2024年11月に「中国事業改革計画」を発表し、販売網の再編やコスト削減、新車投入の加速などを打ち出した。2025年までに中国市場向けに5車種の新型EVを投入する計画だが、実現には多額の投資が必要となる。
アナリストは「日産が中国市場で巻き返すには、現地の消費者の嗜好に合った製品を、競争力のある価格で提供することが求められる。また、中国政府のEV推進政策を活用し、補助金や優遇措置を最大限に活用する戦略も重要だ」と指摘する。
日産の中国事業の行方は、同社の将来を左右する重要な要素となる。EVシフトの波に乗り遅れた日産が、中国市場で再び成長軌道に乗ることができるか、注目が集まる。



