米イラン停戦でもナフサ不足と物価高は続く、日本経済の悪循環を分析
米イラン停戦でもナフサ不足と物価高は続く

米国とイランの停戦協議が進む中、原油価格は一時の高騰から落ち着きを見せている。しかし、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主任研究員、土田陽介氏は、この状況が日本の物価高や生活苦の根本的な解決にはつながらないと警鐘を鳴らす。同氏によれば、問題の核心は原油ではなく、石油製品の供給逼迫にあるという。

原油価格の安定は一時的、石油製品の不足がインフレを加速

米国とイランの戦闘が停戦協議に入ったことで、原油先物価格は上昇基調を弱め、安定化している。しかし、各国中央銀行はインフレ加速を警戒し、タカ派姿勢を強めている。その理由は、原油価格の安定にもかかわらず、石油製品の供給不足が解消されていないからだ。湾岸諸国の製油施設が米イラン戦争で破壊されたことが、石油製品の不足を長期化させている。

脱炭素化と精製能力の縮小が追い打ち

これまでの脱炭素化の流れで、主要国の製油能力は縮小傾向にある。さらに、原油には硫黄分や比重の違いによる品質差があり、単に原油を輸入すれば国内で精製できるわけではない。日本では以前から中東依存度の高さが問題視されてきたが、中東産原油・石油製品のコスト優位性から、依存度は9割以上を維持してきた。土田氏は「種々のリスクを考慮しても、中東産の方が圧倒的に安い」と指摘する。

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日本経済への悪循環:ナフサ不足から物価高、生活苦へ

石油製品、特にナフサ(石油化学製品の原料)の不足は、プラスチックや合成繊維など幅広い製品の価格上昇を招く。これにより、日本の消費者物価は上昇を続け、実質賃金の低下を通じて生活苦が深刻化する悪循環に陥っている。土田氏は「金さえ出せば輸入できるという昭和の考え方は通用しない」と警鐘を鳴らす。

日本政府はアラスカ産原油など新たな調達先の確保を模索しているが、専門家からは「石油製品の精製能力や物流インフラの制約から、短期間での多角化は困難」との声が上がる。結局のところ、地政学的リスクとコストのバランスをどう取るかが、今後の日本のエネルギー政策の課題となる。

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