大分県臼杵市で毎月第1日曜日に開かれる朝市「ひゃくすた」が、来年度に10周年を迎える。実行委員会代表の山崎誠さん(51)に、食や農業への関心を持ったきっかけや朝市への思いを聞いた。
食と農業に関心を持ったきっかけ
山崎さんは元々、東京などで音響や照明の仕事をしていたが、2001年の米同時テロを機に「何かあったとき、自分で食べ物を作れた方がいい」と考え、飲食業界へ転職。アレルギーに悩む妻との暮らしを通じて食への関心が高まり、「自分たちで野菜を作って食べる生活がしたい」との思いから、大学の講座やオーガニックスクールで農業の基礎を学んだ。
息子が生まれ、自然豊かな場所で農業をしながら子育てができる移住先を探していた際、縁あって臼杵市を紹介された。「ほんまもん農産物」認証制度と、その安全な野菜を学校給食にも活用していることが決め手となり、10年前に有機農業を行う地域おこし協力隊の1期生として家族で移住した。
「ひゃくすた」の始まりとこだわり
現在は「yomoyamaya」の屋号で独立し、夫婦で年間40品目以上の有機野菜や加工品を作っている。協力隊として野菜を作り始めたものの、当時は販路があまりなかったため、同期と2人で軽トラ市を計画。市などの後押しを受け、他の生産者や有志と実行委員会をつくり、2017年秋に「ひゃくすた」をスタートさせた。
名称は「百姓ニュースタンダード」の略で、生産者と消費者、農家同士が交流する新しい定番の場をつくるとともに、有機農産物を身近なものとして食卓に取り入れてもらいたいという思いが込められている。出店基準は、農産物が化学合成農薬や化学合成肥料を使っていないことを条件とし、飲食物や加工品も添加物や化学調味料、白砂糖などを使わないといった厳格な基準を設けている。
10周年に向けた展望
「ひゃくすた」を通じて、臼杵の豊かな土壌で育まれた有機野菜を月1回でも丁寧に調理して食べ、体をつくる「食」に関心を持つきっかけになればと山崎さんは話す。リピーターが定着し、来場者同士が商品を薦め合うなど温かな交流も生まれている。市外の若い農家から「出店したい」と声をかけられることも励みになっている。
「これからも情報発信など工夫しながら長く続けていきたい。訪れた人が『農家になってみたい』と思えるような、新規就農のきっかけづくりもできたら最高だ」と話す。山崎さんは大分市出身で、大分県立大分工高を卒業後、大阪や東京などで働きながら劇団やバンドの活動も行った。妻とは大阪の劇団で知り合い、2011年に結婚。趣味は音楽鑑賞やサッカー観戦で、現在は中1の息子が所属するチーム「アニモセレクト」の応援に熱を注いでいる。