ブラジル大統領選の決選投票を1週間後に控えた18日、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領と右派のフラビオ・ボルソナロ上院議員が初のテレビ討論会に臨み、互いに個人攻撃を繰り返す激しい非難の応酬を繰り広げた。
互いに「うそつき」と非難
両氏は討論会で何度も相手を「うそつき」と呼び、汚職疑惑を突き付けたり、過去のスキャンダルを蒸し返したりした。混乱したやりとりは、政治的な分断が深まる同国での激しい選挙戦を象徴するものとなった。
極右のジャイル・ボルソナロ前大統領の息子であるフラビオ氏(45)は、今月初めの第1回投票で予想外の首位に立った。世論調査では、25日の決選投票は接戦になると予測されている。
経済・治安・汚職をめぐる論戦
両氏は経済、治安、医療、汚職、米国との関係などをめぐって激しく論争した。フラビオ氏は「ブラジルはあなたを引退させる」とルラ氏に言い放ち、カメラに映り込む形で相手の背後を行き来し、首を振ったり薄笑いを浮かべたりして動揺を試みた。
ルラ氏はフラビオ氏を「常習的なうそつきで、ごろつきだ」と非難。リオデジャネイロの武装犯罪組織との関係が疑われていることに言及し、「武装組織の一員」の近くには立ちたくないと述べた。
フラビオ氏は、ルラ氏が汚職事件で収監されていた過去を何度も持ち出し、「距離を取っていた方がいい。財布を盗まれるかもしれないからだ」と応酬した。この事件の有罪判決は後に無効とされている。
支持率は僅差
間もなく81歳を迎え、通算4期目を目指すルラ氏は、時折いら立ちを抑えようとする様子を見せた。フラビオ氏の発言がうそであることを確かめるよう、視聴者に「グーグルで調べてほしい」と繰り返し呼び掛けた。
第1回投票以降、世論調査ではフラビオ氏がリードしているが、今週発表された二つの調査では、その差がわずかに縮まった。支持率はフラビオ氏が51%、ルラ氏が49%だった。
米国の利益への「従属」を巡る攻防
フラビオ氏は、生活費の高騰や治安の悪化といった国民の主な懸念事項を繰り返し取り上げ、ルラ氏が選挙運動中に発表した各種社会政策を再選のための「無謀な支出」だと非難した。
ルラ氏は、フラビオ氏に対し、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が実施したような公共支出の大幅削減を行うつもりなのかと問いただした。ミレイ氏の「チェーンソー」に象徴される徹底的な歳出削減は、失業率の上昇や給付金の削減につながった。フラビオ氏はこの質問をかわし、別の話題に切り替えた。
ルラ氏はさらに、ボルソナロ一家の盟友であるドナルド・トランプ米大統領とフラビオ氏の関係や、ブラジルのレアアース(希土類)資源を「引き渡す」計画について疑問を呈し、「ボルソナロ一家がいかに米国の利益に従属しているかは驚くべきことだ」と述べた。
討論会ではジャイル・ボルソナロ前大統領の名前も繰り返し登場した。フラビオ氏が、なぜ多くの受刑者がルラ氏を支持したのかと問いただすと、ルラ氏は、ジャイル氏を含むすべての人から票を得たいと応じた。ジャイル氏は2022年の大統領選で再選に失敗した後、クーデターを企てた罪で禁錮27年の判決を受け、現在は自宅で刑に服している。
ルラ氏は「ボルソナロよ、私に投票してほしい。あなたは自分の息子のことを知っているだろう。私の方が彼より優れていることも分かっているはずだ」と述べた。