ブリリアント・ジャークが組織を静かに崩壊させる初期症状とその恐怖
ブリリアント・ジャークが組織を静かに崩壊させる初期症状

大手動画配信サービスNetflixが問題提起したことで世界的に注目を集める概念「ブリリアント・ジャーク」。これは、個人としての成果は優秀(Brilliant)でありながら、組織やチームを疲弊させる嫌な人(Jerk)を指す。これまで明確に表現できなかった「組織の理不尽」に、明確な名前を与えた点で重要だ。

静かに進む崩壊の「初期症状」

ブリリアント・ジャークが存在することで、組織はどのように壊れていくのか。それは突然の大爆発ではなく、静かで陰湿、かつ確実な腐敗のプロセスをたどる。

ここで「割れ窓理論」が参考になる。建物の窓ガラスが1枚割れたまま放置されると、誰も気にしていないと思われ、やがて全ての窓ガラスが割られ、街全体が荒廃するという理論だ。組織の崩壊も同様のプロセスをたどる。

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最初の1枚目の割れ窓にあたるのが、「インシビリティ(無礼さ)」である。インシビリティとは、明確なハラスメントや暴力ほどではないが、相手への配慮を欠いた言動のこと。例えば、あいさつをされても返さない、相手が話している最中にスマホをいじる、露骨にため息をつく、メールの返信を意図的に遅らせる、特定の人の発言だけを無視する、などが挙げられる。

これらの行動は一つひとつは些細だが、積み重なることで組織に深刻な影響を与える。

無意識の「微細な攻撃」

インシビリティの特徴は、加害者に悪意がないことが多い点だ。しかし、受け手はストレスを感じ、心理的安全性が損なわれる。これが組織全体に広がると、コミュニケーションの質が低下し、協力関係が崩れ始める。

ブリリアント・ジャークは、高い成果を上げるため、周囲の些細な無礼を見過ごされがちだ。しかし、その放置が組織の士気をじわじわと低下させる。

賢者から静かに泥舟を降りる

インシビリティが蔓延する組織では、最初に離脱するのは優秀な人材である。彼らは自分の価値を理解し、健全な環境を求めて去っていく。これを「賢者から静かに泥舟を降りる」現象と呼ぶ。結果として、組織には無礼な行動に鈍感な人材や、やむを得ず残った人材が残り、さらに劣化が進む。

ブリリアント・ジャーク本人は、自分の行動が問題を引き起こしていると気づかないことが多い。そのため、組織として早期に発見し、対策を講じることが重要だ。

本記事は、『ブリリアント・ジャーク 静かにチームを壊す人たち』(沢渡あまね、伊達洋駆著)から一部を抜粋、編集したものである。

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