国内の大手外食チェーンが海外進出を加速させている。人口減少や物価高騰で厳しい国内市場とは対照的に、世界の外食市場は拡大を続けており、海外進出は「挑戦」から生き残りをかけた「必須」の事業へと変わっている。
王将フードサービス、オーストラリア進出へ
「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは、2026年8月に設立するオーストラリアの子会社について、餃子の現地製造や食材の配合テストを進める方針だ。同社は2017年に台湾に初出店し、日本式焼き餃子が好評で2026年4月には3店舗目を開業。2026年には海外事業室を新設し、オーストラリアでも餃子やチャーハン、ラーメンを現地に合わせた食材と味付けで提供する計画。渡辺直人社長は「来年の秋にオープンさせたい」と語る。
世界の日本食市場拡大、国内は飽和状態
農林水産省の調査によると、海外の日本食レストランは2025年に18万1000店で、半数以上の11万2400店がアジア。中国の経済停滞で2023年より減少したが、10年前の倍以上に増えた。一方、国内市場は飽和状態で、帝国データバンクによると飲食店の価格転嫁率は32.8%と全業種平均の42.1%を下回る。有効求人倍率も飲食物調理従事者が2.15倍、接客・給仕従事者が2.28倍と全業種平均0.99倍を大きく上回り、人材確保が困難だ。
成功事例とリスク、現地化が鍵
成功事例として、丸亀製麺のハワイ・ワイキキ店が国内外で最高売上を記録。サイゼリヤは中国で629店を展開し、将来的に海外8000店舗を計画する。しかし、くら寿司は上海から2年で撤退、モスバーガーもオーストラリアから撤退した。成功の鍵は現地化の徹底で、千房HDはロサンゼルスで和牛ステーキ、中国でたこ焼きなど現地に合うメニューを提供し好評を得ている。
渡辺社長「餃子を世界の日常食に」
王将フードサービスの渡辺社長は「海外展開は目先の利益ではなく、数十年先を見据えた事業」と述べ、現地のスタッフが望むものを現地で作る重要性を強調。台湾では現地企業が王将のレシピを活用し黒字化しており、将来的には国内と同数の店舗を世界に展開したいとしている。



