東洋経済の記事をリライト:日本の半導体産業復活への道筋
日本の半導体産業復活への道筋

日本の半導体産業が再び世界の舞台で存在感を示そうとしている。政府は2023年度補正予算で半導体分野に約3兆円を投じ、国内生産基盤の強化を加速。特に先端ロジック半導体の国産化を目指すラピダス社には、総額約9200億円の支援が決定した。同社は北海道千歳市に工場を建設中で、2025年の試作ライン稼働、2027年の量産開始を目指している。

半導体戦略の全体像

経済産業省が2023年6月に改訂した「半導体・デジタル産業戦略」では、2030年までに国内半導体関連売上高を15兆円に引き上げる目標を掲げる。これは2020年の約5兆円から3倍増に相当する。戦略の柱は、先端ロジック半導体の量産、先端メモリの開発、半導体製造装置や材料の競争力強化の3本柱だ。

ラピダスは、TSMCやサムスン、インテルが激しく競う2ナノメートル世代以降の半導体を国産で実現しようというプロジェクト。同社の小池淳義社長は「日本が再び半導体で世界をリードするためには、官民一体となった長期的な投資が不可欠」と強調する。しかし、実現には巨額の投資と高度な技術者が必要で、課題は多い。

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半導体メーカーの動き

既存の半導体メーカーも活発だ。キオクシアは2023年12月、岩手県北上市の工場で第2棟目の建設を開始。最先端の3D NANDフラッシュメモリを生産し、2025年以降の量産を計画する。ソニーグループは熊本県菊陽町に建設中のイメージセンサー工場を2024年度中に稼働予定。ルネサスエレクトロニクスも、パワー半導体の生産能力を2025年までに2倍に増強する方針を発表している。

半導体製造装置メーカーも好調だ。東京エレクトロンは2023年度の売上高が過去最高を更新。同社の河合利樹社長は「AI関連需要の拡大で、最先端のエッチング装置や成膜装置の引き合いが強い」と語る。ディスコも、半導体の切断や研磨に使う精密加工装置の需要が伸びており、2023年度の営業利益は前年比30%増を見込む。

材料メーカーの強み

日本は半導体材料分野でも強い競争力を持つ。JSRは、最先端のEUV(極端紫外線)リソグラフィーに使うフォトレジストで世界シェア約50%を誇る。同社のエリック・ジョンソンCEOは「微細化が進むほど、材料の重要性は増す。日本の材料メーカーは、世界の半導体産業に不可欠な存在だ」と指摘する。

信越化学工業とSUMCOは、シリコンウエハーで世界シェアの約半分を占める。両社とも、先端ロジックやメモリ向けの大口径ウエハーの需要増に対応するため、設備投資を拡大している。三菱ケミカルグループも、半導体洗浄用の高純度薬品で強みを持ち、台湾や韓国の半導体メーカーへの供給を増やしている。

課題と展望

しかし、日本の半導体産業復活には多くの課題が山積する。最大の課題は人材不足だ。半導体業界では、今後10年間で約4万人の技術者が必要とされるが、現状では供給が追いついていない。政府は大学や高専と連携し、半導体人材の育成プログラムを強化しているが、即効性は期待できない。

また、先端半導体の量産には、膨大な電力量と水が必要だ。ラピダスの工場が立地する北海道千歳市では、電力供給の増強が急務となっている。さらに、地政学リスクも無視できない。台湾有事などが発生した場合、半導体サプライチェーンが寸断される恐れがある。

それでも、半導体の重要性は今後ますます高まる。自動車、家電、産業機器、AIなど、あらゆる分野で半導体は不可欠だ。日本の半導体産業が再び世界で存在感を示すことができるか、官民の取り組みが試されている。

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