建設業界の人手不足が深刻化する中、Z世代は年収500万円でもブルーカラー職を敬遠する傾向が強まっている。その結果、地方では道路陥没や災害復旧の担い手不足が現実のものとなり、インフラ整備が後回しにされる実情が浮き彫りになった。
地方で顕在化する建設業者の廃業リスク
UZUZ COLLEGE代表の川畑翔太郎氏と、建設業界に詳しい高内氏の対談によれば、都市部の大手ゼネコンは知名度から新卒採用が集まる可能性がある一方、地方の地域密着型建設業者は深刻な人手不足に直面している。高内氏の実家は栃木県の建設業者だったが、数年前に廃業した際、顧客から「うちに何かあったとき、また電話していい?」と心配されるほど、地域の「町医者」的な役割を担っていたという。外壁や塀の修繕、アスファルトの穴埋めなど、生活環境のメンテナンスを請け負う施工管理者がいなければ、地域のインフラ維持は困難になる。
災害時の復旧を担う人材不足
高内氏は、災害時こそ地域密着業者の重要性が顕著になると指摘する。地元では数年前の集中豪雨で河川が決壊した際、地元業者がすぐに駆けつけて復旧作業を行った。施工管理をはじめとする建設業界の人手不足は、災害対策としても極めて重要な課題だ。国土の大半を占める地方の道路や家屋を守るには、各地に地域密着の建設業者が存在することが不可欠である。
「20代で年収500万円でも施工管理職の希望者ゼロ」の現実
川畑氏は「20代で年収500万円でも施工管理職の希望者ゼロ」という現実に対して、業界としての魅力発信が必要だと問いかける。高内氏は、大学や工業高校、高専で建築や土木を学ぶ学生は存在するため、まずは業界のイメージ改善が急務だと述べる。自身の時代は女性が非常に少なかったが、現在は男女関係なく活躍できる環境が整いつつあり、処遇も改善されている。かつての「3K(きつい、汚い、危険)」というイメージを払拭することが重要だ。
未経験でも施工管理は可能、求められる資質
大卒者が建設業界に入ると施工管理職を担当することが多いが、未経験でも十分にやっていける。高内氏自身も現場で教わりながら成長したという。必要なのは、人間関係を大切にすることと、「わからないことを素直に聞ける」ことだ。施工管理は都市部のビル建設だけでなく、地方の生活道路や水路、水道、下水道、橋などの生活インフラを守る事業や、災害後の復旧事業も含まれる。これらの仕事には代役がおらず、大きなやりがいがあると高内氏は強調する。
待遇改善の情報が若者に届いていない
筆者は以前、インフラ崩壊の将来的リスクについて記事を執筆したが、今回の対談で「地方ではすでに崩壊が始まっている」現実が明らかになった。国や業界が進めてきた待遇改善の取り組みは、若者の約8割に情報として届いていないという。この事実を踏まえると、「条件さえ良くすれば人が来る」という甘い認識を捨てる必要がある。人手不足がさらに顕著になる今後、業界の魅力を自ら積極的にアピールすることは喫緊の課題であり、それが地方の災害対策や生活インフラを守るための第一歩となるだろう。



