発達障害グレーゾーンの人材を「才能」と捉え転職支援、台日商事の取り組み
発達障害グレーゾーンの人材を「才能」と捉え転職支援

障害者手帳の交付を受けるような制度上の「障害者」ではなくても、実際には仕事や生活上の困難を抱える「発達障害グレーゾーン」の人たちがいる。9月の「障害者雇用支援月間」を前に、そうした人たちの雇用を支え、転職先とつなぐサービスを提供する台日商事(大阪市天王寺区)に、支援活動の実態を聞いた。

「できない人」とのレッテル貼られる現状

2016年に施行された「障害者差別解消法」が改正され、24年4月からは「事業者による障害のある人への合理的配慮の提供」が法的に義務化された。だが、「発達障害グレーゾーン」の人たちは「障害者」と診断されておらず、その対象から外れる。同社によると、グレーゾーンにあることが事前に周囲に伝わっていないケースも少なくない。その結果、職場で「できない人」とレッテルを貼られ、孤立するケースもあるという。心身が不調となり、早期退職の一因にもなっているようだ。

一人一人の「特性」に合わせた就労先を探す

同社の支援活動について、植田哲也代表によると、まずは「障害者雇用」と「一般就労」のどちらを希望するのか、「将来どのような働き方をしたいか」を本人に確認する。そのうえで、「現在の仕事で困っていること」「どのような場面で働きづらさを感じるのか」を丁寧に聞き取り、一人一人の「特性」に合った就労先を一緒に時間をかけて探すという。

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このサービスを利用した関東在住の30代女性は、幼少時から「片付けが苦手」「遅刻が多い」といった悩みがあり、前職の携帯電話修理の仕事では、ひとつの指示を受けると仕事に没頭するあまり、他の業務を忘れてしまうことがあった。請求書などを紛失し、上司から厳しく叱責されたこともあったという。転機となったのが同社への相談で、女性は「私の特性に合った求人を台日商事さんがたくさん持ってきてくださった。『不採用』の知らせを直接受け取るのは精神的につらいが、不採用であっても、そのつらさを和らげるような『クッション』になってもらえた」と振り返る。

「障害特性」こそ企業の戦力に

女性は自身が「発達障害グレーゾーン」だと周囲に知らせたうえで転職したため、新しい職場の上司や先輩からは「こういう仕事が合うかもしれない」「こう声を掛ければミスが減るかもしれない」と、特性に寄り添った言葉をかけてもらえたという。孤独感も自然と薄らぎ、「自分にできることを増やしたい」「役に立ちたい」と前向きな気持ちで働く意欲を持てたという。

こうした実態について、植田代表は産経新聞の取材に、「『この仕事が向いている、向いていない』と決めつけるのではなく、これまでの経験を振り返り、得意なことや苦にならないことを整理してみる。そのうえで『世の中にどのような仕事があるのか』を知ってもらうことから始めている」と指摘。発達障害やグレーゾーンにある人たちの特性に合わせた就労環境を整え、企業の成長戦略にも生かす考え方は「ニューロダイバーシティ」と呼ばれる。

「一つのことにしか集中できない」という特性でも、環境を変えれば一つの仕事で大きな成果を発揮する「強み」になり得る。同社はこう考え、転職元と転職先をつなぐ。植田代表はインタビューの最後に「(特定の障害が原因で現れるそのひと特有の行動をいう)『障害特性』を持つ人たちが、企業の発展にとって重要な『戦力』だと認知され、『障害特性』こそが『才能』なのだと言い換えられるような雇用関係を実現させたい」と語った。

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