ロシア東シベリアのイルクーツクにあるペスト対策研究所の職員が「原因不明の肺炎」で死亡し、ペストに感染していた疑いがあるとして懸念が広がっている。米欧が注視する中、ロシアの公衆衛生当局はペスト感染を否定し、火消しに躍起になっている。
20歳代女性研究員が死亡、試験管割れの報道も
独立系の地元メディアによると、研究所で働く20歳代女性が9月下旬、体調を崩してイルクーツク近郊の病院に入院し、今月2日に死亡した。女性がペスト菌の入った試験管を割ったらしいなどとも報じられた。
イルクーツク州知事は2日、「危険な感染症」への感染が疑われる事案について情報を受け緊急会議を開催したとSNSで公表。「濃厚接触者に病気の兆候はみられない」と強調した。
当局は感染否定、米欧は注視
だが、隣接するブリヤート共和国のトップが同日、「ペストで死亡した可能性がある」と投稿し、「ペスト感染」の情報が拡散した。公衆衛生当局は4日、女性が「原因不明の肺炎」で、業務に関連する病原菌は検出されず、業務中の事故もなかったと発表した。露大統領報道官も5日、「噂に惑わされてはならない」と訴えた。
米国のルビオ国務長官は5日、記者団に「警戒が必要な事態とは考えていないが、状況を見守っていく」と語った。欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会報道官も同日、「状況を注視している」と語った。
ペストの現状と治療
ペストは14世紀の欧州で「黒死病」として猛威を振るった。抗生物質で治療できるが、日本の厚生労働省によると、アジアやアフリカで毎年2000人程度の患者が確認されている。