物価変動を考慮した働き手1人あたりの実質賃金が、10年ぶりに8カ月連続で前年同月を上回った。厚生労働省が7日、8月の毎月勤労統計調査(速報)を公表した。春闘による賃上げに加え、物価高は続いているものの、上昇率が鈍化しているためだ。
名目賃金の伸びが物価上昇を上回る
名目賃金にあたる働き手が受け取った8月の「現金給与総額」は3.8%増の31万1364円。一方、実質賃金の計算に使う消費者物価指数(持ち家の家賃換算分を除く総合)の上昇率は、前年同月より0.9ポイント減の2.2%だった。
名目賃金の伸びが物価上昇を上回ったことで実質賃金は1.5%増となり、8カ月連続のプラスとなった。12カ月連続プラスとなった2016年2月~17年1月以来、約10年ぶりという。
27年初めにマイナス転換の可能性も
だが、この秋の値上げラッシュなどを受け、実質賃金は27年初めにマイナスに転じる可能性があるとの見方も出ている。基本給など所定内給与は堅調に推移しているが、今後の物価動向次第では賃金の実質的な購買力が再び低下する懸念がある。