大鵬薬品工業は、社内の部門間コミュニケーションを活性化させるため、「要約読書会」を導入している。この取り組みは、単なる読書会ではなく、参加者が本の内容を10分で要約し、その後チームで対話するという形式だ。社長室長の髙尾弥生氏は、「社員一人ひとりが会社の理念や自身の役割について自律的に考え、行動を起こせる人になってほしい」と狙いを語る。
読書会の仕組みと参加者の声
読書会は全社員向けと管理職向けに分けて実施されてきた。管理職向けでは、会社の方針を部門やチームにどう伝えるかを議論する場として活用されている。参加者からは、「普段仕事では関わることのない部署の人と話せてよかった」「営業には営業の苦労、開発には開発の苦労があるが、本質的な悩みは共通していると分かった」「他部署の管理職の工夫を知ることができた」といった声が寄せられている。
読書会では、要約とチーム対話の後、発表タイムが設けられ、全体の時間終了後には交流会も開催される。現在は社長室が主導しているが、将来的には社員が自主的に読書会を開くような流れが生まれることを期待している。
社内コミュニケーションの課題
HR総研が日本企業の人事責任者を対象に実施した「社内コミュニケーションに関するアンケート2025」によると、「社内コミュニケーションに課題がある」と回答した企業は6割を超える。特に「部門間」のコミュニケーションに課題を感じる割合は65%と最も高かった。
この調査結果は、多くの企業が部門間の壁を認識していることを示している。大鵬薬品工業の読書会は、こうした課題に対する一つの解決策として注目される。
「共通の話題を設計すること」に意義
読書会の導入背景には、「部門間の交流が皆無」という社内の課題認識があった。単に「社員の対話を増やそう」と呼びかけるだけでは失敗すると考え、共通の話題を設計することに意義を見出した。読書会は、部署や年次を超えた人々が同じ本を題材に話し合うことで、自然な対話を生み出す仕組みとして機能している。
髙尾氏は、この取り組みを通じて社員が自律的に考え、行動することを期待している。読書会は、単なるコミュニケーション促進策にとどまらず、企業理念の浸透や社員の成長にも寄与する可能性を秘めている。



