日本最大のテーマパーク、東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシー(TDS)を運営するオリエンタルランド(OLC)は、入園料の上限を1万2400円に設定する賭けに出ている。株価は2024年1月の上場来高値5765円から半値の2729.5円(7月17日終値)に沈む中、同社の経営陣は定時株主総会(6月26日、千葉市幕張メッセ)で「現在の株価水準は経営陣に対する厳しい評価そのものであると痛切に感じている」と認めつつも、「当社の本源的な価値や成長の可能性に変わりはない」と自信を示した。
株価下落の背景:変動価格制と新エリア効果の限界
かつてOLCは「入園者が増えて値段も上げられる」成長企業として株式市場から高く評価されていた。大和証券の関根哲シニアアナリストは、「入園者が増えて値段も上げられる成長企業として評価されたことが、バリュエーションの引き上げの背景にあった」と振り返る。実際、コロナ禍前の2013年度から18年度までは年間入園者数が3000万人台を維持し、18年度には過去最高の3255万人を記録。2025年度と比べて約500万人も多かった。
コロナ禍後、OLCは混雑緩和と満足度向上を目指し、2021年3月にチケット料金の変動価格制を導入。需要に応じて価格を変動させ、繁閑差を平準化する狙いだ。2022年5月には、少ない待ち時間で施設を利用できる有料サービス「ディズニー・プレミアアクセス」を導入した。その結果、1人当たり売上高は2018年度の1万1815円から2025年度には1万8403円へと上昇した。
しかし、市場関係者の話を総合すると、ここ2年の株価下落には複数の要因がある。まず、猛暑に見舞われた夏場の集客苦戦が注目された。また、2024年6月にTDSの新エリア「ファンタジースプリングス」が開業してパークが拡大したにもかかわらず、入園者数が伸び悩んでいるという見方が広がった。さらに、筆頭株主である京成電鉄がOLC株を売り出すのではないかという観測も株価を圧迫した。
入園料上限1万2400円の賭けと今後の展望
こうした中、OLCは入園料の上限を1万2400円に設定。変動価格制の下で、需要が高い時期にはこの上限まで価格を引き上げることが可能だ。しかし、入園者数が伸び悩む中で価格だけを上げても、客離れを招くリスクがある。関根氏は現在、目標株価を3000円として投資家に示している。
OLCの経営陣は、株価が半値に落ち込んだ現状を厳しく受け止めつつも、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーのブランド力や成長性に変わりはないと強調する。今後の焦点は、価格引き上げが入園者の満足度や来園意欲にどのような影響を与えるかだ。変動価格制やプレミアアクセスによる収益向上策が、入園者数の減少を補えるかどうかが、株価回復の鍵を握る。



