日本製鉄、1Q事業利益58%増 米USスチールが牽引
日本製鉄1Q事業利益58%増、USスチールが牽引

日本製鉄は8月4日、2026年度第1四半期決算を発表した。事業利益は前年同期比58.1%増の1455億円となり、2025年に買収したU.S. Steelが収益を牽引した。一方、国内事業は中東情勢によるコスト増などの影響を受けており、通期では実力ベース事業利益7000億円以上を見込む。

1Qは増収増益、U.S. Steelが利益を押し上げる

日本製鉄の発表によると、同期間の売上収益は前期比40.4%増の2兆8211億円、事業利益は前期比58.1%増の1455億円、営業利益は1455億円(前期は1395の赤字)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は752億円の黒字(前期は1958億円の赤字)、1株あたりの四半期利益は14円40銭であった。

事業利益より在庫評価差などを控除し、同社グループとしての実力を表す実力ベース事業利益は1084億円で、前期比653億円の減益となった。国内事業が943億円減少した一方、海外事業は290億円増加し、このうちU.S. Steelが290億円押し上げたという。

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同社上席常務執行役員 財務担当(CFO)の岩井尚彦氏は、AIや半導体向け需要は堅調な一方、製造業や建設業の需要低迷、中国の過剰生産・過剰輸出、中東情勢などを挙げ、「鉄鋼事業を取り巻く環境は引き続き深刻な状況だ」と述べた。

そして、岩井氏は、中東情勢によるコスト増が国内事業を圧迫した一方で、「U.S.Steelは当社グループの稼ぎ頭になって収益を牽引するステージに入ってきた」と評価した。

事業利益増の要因と金融収益・費用の増加

事業利益は前期比58.1%増の1455億円となった。円安や原燃料価格の上昇を背景に在庫評価差が502億円のプラスとなったことが押し上げ要因となった。一方、金融収益・費用は316億円と前年同期の56億円から増加しており、U.S. Steel買収に伴う金利負担が影響した。

下期の収益改善を見込む、通期実力利益は7000億円

資料では、中東情勢による影響を第1四半期で約250億円、通期で約600億円と試算している。

2027年3月期の通期見通しは、売上収益が前回予想から2000億円増の11兆2000億円、実力ベース事業利益は7000億円(国内3800億円、海外3200億円、このうちU.S. Steelが1800億円)を見込む。

実力ベース事業利益は上期2500億円、下期4500億円を見込む。2026年度通期では中東情勢による影響を約600億円と見込む一方、下期には価格転嫁や生産・出荷の改善などにより、上期から2000億円の増益を目指す。

岩井氏は「1兆円という中期の目標に向けて、(下期の)4500億円を必達していきたい」と目標を掲げた。

U.S. Steelの2026年度実力利益見通しは前回予想から800億円引き上げ、1800億円以上とした。米国鋼材市況の改善による需要取り込みに加え、シナジーの進展や高炉再稼働効果などを織り込み、大幅な増益を見込む。

国内設備投資とU.S. Steel改革を成長の柱に

岩井氏は決算発表の中で、国内事業のトピックとして、8月に商業生産を開始する名古屋の次世代熱延設備を挙げた。

これは、世界最大の耐荷重性能を有する新鋭設備(年間生産能力 600万トン)で、自動車向け超ハイテン鋼板等の高級薄板生産体制の強化と競争力の飛躍的向上をもたらすという。これにより、高級鋼の安定的な大量生産が可能になる。

中長期の取り組みとしては、国内はこれまで進めてきた再編によるグループトータルでの体質強化を加速し、海外は新たな地産地消体制の確立を行っていくという。

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最後にU.S.Steelへの取り組みについて岩井氏は、「U.S.Steelは市況頼みではなく、地道にシナジーと投資を実行していくというのがわれわれの責務だと思っている。アメリカでU.S.Steelが競争力を失ったのは『守られた市場』が要因だ。本格的な改善策は設備投資(30億ドル)だと思う」と述べ、現在は、100人規模の人材投入が行われ、USの人たちと一緒に非常に前向きに事業を展開している現状を説明した。

その上で「設備投資を行ったら、メリットが出るのは自明の理だと思う。(今後行う予定のトータルで)110億ドルの投資について、メリットがないことはやらない。本当に大事なのは一貫でのクオリティ、品質管理や製版で納期を守ること。1日たりとも欠品しないことをアメリカで本格的にやっていかなければいけないと思っている」と今後の展望を述べた。