日本生命、MDV買収でデータ戦略強化…早期受診促す仕組み検討
日本生命、MDV買収でデータ戦略強化…早期受診促す仕組み検討

日本生命保険が完全子会社化した医療データ収集・分析企業「メディカル・データ・ビジョン(MDV)」の中村正樹社長が読売新聞のインタビューに応じ、早期受診を促す仕組みや新たな保険商品の可能性を検討する考えを示した。

「やりたいことの幅が広がる」と中村社長

中村氏は「医療を巡る課題に長期的な視座から取り組める。やりたいことの幅が広がる」と述べ、日生と連携して早期受診を促す仕組みや新たな保険商品の可能性を検討する考えを示した。

2003年創業のMDVは、病院が持つ医療情報をビッグデータとして収集・分析し、製薬会社や保険会社に提供している。昨年12月、日生が株式公開買い付け(TOB)による買収を発表し、今年5月に子会社となった。

中村氏は、日生が株主から短期的な利益を求められる「株式会社」とは異なり、保険の契約者が構成員(社員)となる「相互会社」の形態を取っていることから、「より社会性を重視した長期的な施策を打ち出しやすくなる」と話した。

健康状態に応じた受診勧奨の仕組み検討

MDVは今後、日生と連携し、まだ病気と診断されていない日生の契約者に自身の健康状態を把握してもらい、検診などにつなげる仕組みの整備を目指す。

同社が持つ膨大な医療データを学習させた対話型のAI(人工知能)を活用し、日生の営業職員に周知してもらうことなどを念頭に置いている。

重症化してからの治療は回復の可能性が低くなるだけでなく、社会保障制度の持続性にも関わる。中村氏は「約5万人の営業職員が、個人に受診勧奨をしてもらえるのは大きなメリットだ」と語った。

リスク予測でがん罹患者への保険も

日生側にも大きなメリットが見込める。データ分析で健康状態の可視化や近い将来のリスク予測ができるため、通常は加入が難しいがんなどの疾病の罹患者にも保険を勧められるようになる。

直前まで日生でヘルスケア事業のトップだった飛田知明副社長は「各事業をMDVのデータがシームレスにつないでくれる」と期待を寄せている。