ドコモ傘下の銀行・証券、その狙いは?経済圏ビジネスの核心に迫る
ドコモ傘下の銀行・証券、その狙いは?経済圏ビジネスの核心

携帯電話市場の飽和や料金値上げ、スマートフォンの価格高騰など厳しい状況が続く中、携帯各社にとって通信以外の事業の重要性が増している。中でも銀行や証券、ローンなどの金融関連事業はここ数年来、各社が注力する分野だ。携帯各社が金融事業に力を入れる背景には、自社グループの金融・決済サービスを利用してもらい、お金の流れを掌握することで系列サービスの利用を促す「経済圏ビジネス」の中核としての位置づけがある。

ドコモSMTBネット銀行の狙い

NTTドコモの金融中間持株会社であるNTTドコモフィナンシャル・グループ傘下のドコモSMTBネット銀行は、NTTドコモと住友信託銀行の合弁会社。旧住信SBIネット銀行として知られ、2025年にNTTドコモに買収された後、2026年8月3日に現在の名称へ変更し、ブランドも「ドコモの銀行」としてNTTドコモグループとしての位置付けを強めている。

同社の口座数は900万を超え、ネット銀行としては有数の規模を誇るが、日本の銀行口座全体(約6億)の1%程度に過ぎない。ネット銀行全体でも預金総額は50兆円程度で、銀行預金残高全体(約1200兆円)の4%程度にとどまる。ネット銀行は金融リテラシーの高い男性層を中心に利用を増やしてきたが、インターネットに閉じたサービスゆえに一般消費者との接点が少なく、認知拡大が課題となっていた。

NTTドコモ傘下に入ったことで、大きな顧客基盤を活用した認知向上に加え、「ドコモショップ」という実店舗を通じて従来接点を持てなかった顧客の獲得が可能になった。実際、NTTドコモは2026年8月21日から一部のドコモショップで口座開設のサポート業務を開始し、対応店舗の拡大を予定している。

マネックス証券の取り組み

同じくNTTドコモフィナンシャル・グループ傘下のマネックス証券は、ドコモSMTBネット銀行に先んじて2024年1月にNTTドコモ傘下となった。NTTドコモとの連携はより進んでおり、「dカード」によるクレジットカード積立や、マネックス証券口座とdアカウントの連携、「dポイント」でのポイント投資、「d払い」アプリからの口座開設・取引ができる「かんたん資産運用」などを提供している。

2026年1月29日にはドコモショップでの口座開設サポートを開始し、NTTドコモの顧客基盤と実店舗網を活用した口座拡大を狙う。証券会社は銀行と異なり、投資に馴染みのない層へのアプローチが難しいという課題を抱えるが、NTTドコモの顧客と接点を持ち、投資への関心を喚起する機会を得たことが大きな意味を持つ。

マネックス証券が2026年10月14日に公表した資料によると、NTTドコモ傘下となった2024年1月以降、口座数は48万口座増加し、これは傘下前の累計口座数の16%に相当する。さらに、2024年1月以降にNISA口座を開設した人の64%がdアカウントと連携しており、2024年9月27日開始のdポイント投資では、新規口座開設者の16%がdポイントでの投資を経験し、そのうち3割がdポイントのみで投資を行っているという。

今後の課題

金融事業の強化は携帯電話会社にとって重要である一方、傘下の金融事業者にとっても従来接点を持てなかった顧客へのアピール機会を生む。しかし近年はメガバンクを中心にデジタル技術を活用した個人向け金融サービスの強化が進み、競争軸は携帯電話会社同士に限らなくなっている。携帯各社と傘下の金融事業者には、Win-Winの関係を維持しつつ弱点を補い、グループ全体での金融事業拡大につなげることが求められる。