みずほ銀、地域金融機関と連携しスタートアップ融資を強化
みずほ銀、地域金融機関と連携しスタートアップ融資を強化

みずほ銀行は地域金融機関と連携したスタートアップ(新興企業)向け融資に力を入れている。今年4月にシンジケートローン(協調融資)の専門部隊を新設し、貸し倒れリスクを分散しながら大口化する資金需要に対応する。大学発スタートアップなど、地方の有力企業を発掘する狙いもある。

取引先を開拓

8月下旬、みずほ銀行は地域金融機関を対象としたセミナーを開いた。シンジケートローンを使った新興企業向けの融資を知ってもらうためで、みずほ銀行の木村峰志執行役員は「成長企業をどうやって支えていくかは、取引基盤の拡大や地域経済の活性化という観点で重要なテーマだ」と呼びかけた。

新興企業向けの融資は、成長企業との関係を早期に構築し、将来の大口顧客化を狙えるメリットがある。人口減少が進む地方では、従来の取引先だけでは顧客基盤の維持や拡大が難しくなっている。スタートアップとの関係を構築して融資先を開拓しようと考える金融機関が少なくない。この日は、全国から約60行の担当者が参加した。

ノウハウ共有

新興企業は、成長過程で赤字が出たり、担保に取れる資産が乏しかったりして、従来の判断基準では融資が難しいケースも多い。この日のセミナーでも、地域金融機関から、従来とは異なる与信審査や市場動向の把握の難しさが新興企業への融資のハードルになっているとの声が上がった。

みずほ銀行は、スタートアップ専門の審査室を2022年に設置し、ビジネスモデルや技術の優位性、経営者の能力など、従来とは異なる融資基準で、事業の将来性を評価する目利き力を磨いてきた。シンジケートローンでは、こうしたノウハウを地域金融機関に提供し、融資のハードルを下げる。

25年に買収した金融のITベンチャー、アップサイダーホールディングス(東京都港区)が持つ人工知能(AI)を使った与信審査のノウハウも活用する。

有力新興を発掘

スタートアップを巡っては、ディープテック(先端技術)分野を中心に資金需要が大口化する傾向がある。創業から新規株式公開(IPO)までの期間が長くなっていることもあり、事業拡大期の資金の出し手を増やす必要性がある。シンジケートローンは、貸し倒れリスクを分散しながら、大口の資金需要に応えられるメリットがある。

地域金融機関との連携を通じて、地方の有力な新興企業を発掘する狙いもある。経済産業省によると、25年度の大学発スタートアップの企業数は前年度から1146社増え、6220社だった。増加した約6割が東京都以外で創業しており、地方大学の研究成果を基にした起業が増えている。地域の情報に詳しい金融機関と組むことで、成長期待が大きい地方発の新興企業の情報を得られるメリットもある。

大和総研金融調査部の石井一成・主任研究員は、「地域金融機関が事業性や将来性を重視した与信審査をすぐに行うのは難しい。シンジケートローンの参加をノウハウを蓄積するきっかけとし、(新興企業への資金供給を通じて)地域産業の成長を推進できる人材を育成していくべきだ」と指摘している。