京都駅前に共創施設「京都セントクロス」開業、産官学で起業家育成へ
京都駅前に共創施設「京都セントクロス」開業、起業家育成へ

新たな産業の創出や社会課題の解決をめざす共創施設「KYOTO CENTCROSS(京都セントクロス)」が、JR京都駅八条口にオープンした。京都市が駅南側で進める企業誘致プロジェクト「京都サウスベクトル」の玄関口に位置し、新たな価値や技術革新が生まれる場として期待される。

施設の概要と名称に込めた願い

手がけたのは、京都中央信用金庫(京都市下京区)だ。ワコールホールディングスが所有していた7階建てオフィスビルの土地・建物を昨年取得し、1~2階に共創施設を設けた。共創施設の広さは延べ約2800平方メートル。200人程度が入れるイベントスペースやセミナールームなどを備える。

名称の「CENTCROSS」には、京都の「中央」で、人・モノ・知識が「クロス(交わる)」し、京都から世界へ交わるといった願いを込めた。

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開業式典で産官学の連携を強調

3日にあった開業式典には経済界や自治体関係者ら約200人が出席。中信の植村幸弘理事長は「産官学など既存の枠組みを超え、京都のこれからの100年を共に創る。そんな挑戦を後押しできる施設にしたい」と語った。

京都市は2023年、約15年ぶりに都市計画を見直し、京都駅南エリアで高さや容積率の規制を緩和。企業や研究開発拠点の誘致をめざしている。松井孝治市長は「京都の産官学の『主役』が交ざり合い、イノベーションを生み出す場になってほしい」と語った。

中信は来春までに、四条烏丸の本部機能のうち、本店営業部を除く大部分を共創施設の上層階に移転させる方針。登記上の本店住所は変更しない。

学生向け起業家育成プログラムも始動

開業したばかりの「KYOTO CENTCROSS」を舞台に、学生向け起業家育成プログラムが始まる。京都中央信用金庫と三菱UFJ銀行系の関西イノベーションセンター(大阪市)、理系の研究者集団「リバネス」(東京都)の3者が連携し、学生の自由な発想を社会実装につなげる後押しをする。

プログラムでは近畿の大学生らを対象に参加者を公募。24人の応募者から「医療・ヘルスケア」「創薬・バイオ」などをテーマに持つ10人を選んだ。異分野の学生が今月から10月までゼミ形式でアイデアを出し合い、分野横断的な「化学反応」が起きるのを狙う。

ゼミ長として伴走するのは、リバネスの井上浄社長兼CCO(最高文化責任者)だ。井上さんは免疫学が専門で、腸内細菌に詳しい研究者であり薬剤師。子どもの「理科離れ」を食い止めようと、大学院在学中に理工系の仲間とリバネスを創業し、研究者の知識と企業をつなぐ活動をしてきた。

井上さんには忘れられない思い出がある。起業当初、仲間の親の一人が「頑張れ」と10万円を手渡してくれた。「応援してくれる人がいる」という安心感が、未知の世界に飛び込んだ不安をかき消してくれたという。今回参加する学生にも、同様に活動費として1人10万円を贈る。

アップルもグーグルも、創業者は若くして起業した。ところが、世界の大学生の起業意識を比較した国際調査によると、日本の起業活動は主要44カ国中42位にとどまっているという。

井上さんは「起業を志す若者が何もかも一人で背負わなくてよい環境を整えたい。先輩起業家として、学生の悩みや不安にも向き合っていく」と話す。

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