クボタ、中央集権的人事異動をせず社員との対話重視で納得感ある異動
クボタ、中央集権的人事異動せず対話重視で納得感ある異動

転勤への抵抗感が強まる中、事業を進める上で転勤や出向が欠かせない企業は多い。売上高の8割を海外が占めるクボタは、従業員との対話を重視して、納得感のある異動を図る。谷口慶太・人財開発部長は「中央集権的な人事異動はしない」と話す。

定期異動のない会社、国内異動は比較的少ない

クボタは定期異動のない会社で、事業上の必要性や育成などニーズに応じて異動を行っている。担当業務が変わっても、関西や関東を中心に長く勤務する社員は多く、国内で転居を伴う異動は比較的少ないという。

一方、グローバルでは売り上げの約8割を海外事業が占め、日本からの駐在員は約450人に上る。海外には製造や販売の最前線があり、現地での勤務は社員の視野を広げることにつながる。役員を見ても駐在経験者が多く、海外勢と伍していくには、各年代や階層で海外での経験を積む必要があるとしている。

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1on1面談や事前打診で納得感を高める

そのため、従業員にはできるだけ駐在の機会を提供したいと考えているが、辞令1枚で行かせられるとは思っていない。運用の中で、個人や家庭の事情に最大限配慮しながら異動を検討する。

各部門の上司には、この5年ほど、月に1回は部下の「1on1」(1対1の面談)をできるだけ行うよう求めている。コロナ禍で在宅勤務の様子を確認するために始めたことだが、「続けた方が良い」と上司側も手応えをつかんだという。

社員からすると年1回の人事面談だけでなく、普段から希望や家庭の事情を話すチャンスがある。会社としても、適切な異動機会を探ることができる。共働きなどで成り立たない異動もあるため、社員には内示の3段階前ぐらいから異動の打診をしており、かつての「どこでも行けるだろう」という考えはない。

若い世代の転勤抵抗感、入社1年目の出向制度

若い世代で転勤への抵抗感が高まっているのは感じる。谷口部長が入社した30年ほど前は、会社に希望を伝えるには相応の覚悟が必要だったが、社会全体で意思表示の自由度は上がった。

クボタは1998年頃から、農機の営業を担当する入社1年目の社員に、毎年7月から約1年間、全国13の販売会社へ出向させる制度を続けてきた。農家や地域の営業所の方と直接ふれあう機会は限られており、田を耕し、稲を刈る周期を通じて、現場を五感で理解できなければ、本社に戻っても地に足の着いた仕事にはならないとしている。

以前は配属式の当日に辞令を渡して、配属部署や出向先を伝えていたが、事前の説明がないままでは不安を感じ、納得感もないだろうと思い、1週間前には人事のオンライン面談で伝えるようにしている。

転勤や出向そのものをなくすことは難しいが、共働きが増える中、昔より転勤が難しくなったり、単身赴任が厳しくなったりしていることは理解している。だからこそ、普段から対話を重ね、異動を決める。中央集権的な人事異動はしない。

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