上場企業統治指針を5年ぶり改定、中長期の価値向上重視
上場企業統治指針を5年ぶり改定、中長期の価値向上重視

金融庁と東京証券取引所は21日、上場企業の行動原則を定めた「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」を改定した。株主還元など短期的な方策への偏重を改め、中長期の企業価値向上に重点を置いたのが特徴で、改定は5年ぶりとなる。

取締役会に対し、現預金などの経営資源を有効活用できているかどうかの検証も求めており、企業の成長投資を促して日本経済全体の活性化につなげる。

片山金融相が改定の狙いを説明

片山金融相は21日の閣議後記者会見で、「企業が中長期的な価値向上に向け、より本質的な取り組みに注力できるよう後押しする。成長投資に向けた取り組みの重要性を強調した」と改定の狙いを語った。

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指針は2015年に策定されて改定は3回目。企業の「稼ぐ力」を高めることを狙いとしており、今回の改定では、株主や顧客、従業員など幅広い関係者の立場を踏まえ、企業の「迅速・果断な意思決定を促す」ことを通じて、成長に向けた「攻めのガバナンス」をより強く後押しする内容となった。

主な変更点と原則の削減

改定では、取締役会の役割として成長投資や事業構成(ポートフォリオ)の見直しなど、経営資源の配分について具体的に説明すべきだと明記。現預金などの資産を成長投資に有効活用できているか、不断に検証することも求めた。

投資家の判断材料となる有価証券報告書については、株主総会の3週間以上前に提出することが望ましいと記載した。頻発する外部からのサイバー攻撃や、サプライチェーン(供給網)が途絶するリスクへの対応も追記した。

指針に法的拘束力はなく、「コンプライ・オア・エクスプレイン(順守するか、説明するか)」と呼ばれる考え方を採用している。企業が順守すべき原則の数が増えて形式的な記載が目立っており、改定では原則を83から30に減らした。代わりに順守や説明の必要がない「解釈指針」を新設した。原則を順守するかどうかは企業の自発的な判断を重視し、原則を順守しない場合の丁寧な説明を求めた。

経産省が成長投資ガイダンスを策定

指針の改定に合わせ、経済産業省は21日、実務的な指針となる「成長投資ガイダンス」を策定した。株主から集めた資金でいかに効率的に利益を出したかを示す経営指標「自己資本利益率(ROE)」など、短期的な資本効率にとらわれず、中長期的に収益性を向上させる成長投資の拡大を求めている。

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