2026年上半期の輸出額で、韓国と台湾がともに初めて日本を上回った。日本経済新聞が8日に報じた。日本の輸出額は3844億ドル、韓国は4963億ドル、台湾は4166億ドル。日本も前年同期比で1割弱増えたが、韓国と台湾は5割近く伸びた。生成AI向け先端半導体の需要拡大で、台湾積体電路製造(TSMC)、サムスン電子、SKハイニックスが需要を取り込んだためだ。
「順位」より「速度」と「加速度」
日本工業大学大学院技術経営研究科の田中道昭教授は、このニュースを順位の話として受け止めるだけでは本当の危機を見誤ると指摘する。日本の根源的な分岐点は現在の輸出額という“位置”ではなく、日本と韓国・台湾が異なる「速度」と「加速度」で動いており、その差が時間とともに拡大する構造にあるという。
田中教授は「微分」と「積分」の概念を用いて解説する。微分は物事が「いま、どのように変化しているか」を見ることであり、積分は過去からの変化や営みが「どれだけ蓄積されてきたか」を見ることだ。現在の加速度を生み出したのは、過去数十年にわたる投資、人材、技術、制度、企業間連携の蓄積、すなわち「積分」であると説く。
日本に足りないのは「積分器」
田中教授は、日本に技術がないという単純な話ではないと強調する。日本には世界最高水準の要素技術がある。しかし、それらを市場の大きな果実へ束ねる「積分器」が弱い。これこそが、いま日本が直面する根源的問題だと指摘する。
この分析は、日本の半導体産業の現状にも及ぶ。日本は半導体製造装置で圧倒的に強いが、その強さが加速度に変わらない理由として、点の支援では加速度は生まれないと述べる。韓国型やTSMC型の「型」を真似することもできないとし、起点を技術ではなく世界需要に置くべきだと提言する。



