IT人材向けの転職市場で、フルリモート求人が減少傾向にある。レバテックの調査によると、週5日以上リモートで勤務する人は20.8%に上るが、企業の出社回帰の動きが広がり、フルリモート求人はピーク時から減少。一方、「リモートワーク不可(原則出社)」の求人は2023年後半以降増加している。
フルリモート求人減少の背景
レバテックがIT人材3000名を対象に実施した調査では、現在リモートワークを行っている正社員のうち75%以上が継続を希望している。しかし、転職市場全体ではフルリモート求人は徐々に減少。その背景には、AIの進化と求められる役割の変化がある。
生成AIの登場により、定型業務や個人完結型業務の効率化が進み、企業が求める人材像も変化。「作れる人」だけでなく、課題を発見し周囲を巻き込んで意思決定を進められる人の価値が高まっている。特に、FDE(Forward Deployed Engineer)のように顧客の現場に入り込み、課題解決から事業成果につなげる役割が注目されている。
出社回帰の動きと二極化
海外の大手テクノロジー企業が2023年頃から出社を求める方針に転換したことに伴い、日本でもオフィス出社を取り入れる企業が増加。かつてフルリモートを前提としていた企業でも、週1~3日程度の出社を求めるケースが珍しくない。
転職市場では、フルリモートでも成果を出しやすい職種と、対面での価値発揮が求められる職種への二極化が進んでいる。ITコンサルタントやプロジェクトマネージャー、エンジニアリングマネージャーなど、年収や役割が上がるほど出社を前提とした働き方が増える傾向にある。
市場価値を高めるために
リモートで働き続けたい場合は、場所に依存せず成果を出せる専門性が重要。企業に出社回帰が進んでも、「この人でなければ任せられない」と思われる専門性があれば働き方の選択肢は広がる。一方、年収アップを目指すなら、事業全体を見る力や関係者を巻き込む力、意思決定を進める力が求められる。
レバテックの転職支援担当者である大峯瑞季氏は、「重要なのは『出社かリモートか』という働き方の二択に縛られないこと。自身の市場価値を高めるためにどのような経験や環境が必要なのかという視点が重要だ」と述べている。



