CATLの2025年第1四半期決算、増収増益も成長鈍化が鮮明に
世界最大の電気自動車(EV)用電池メーカーである中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が2025年4月に発表した第1四半期決算は、売上高が前年同期比6%増の約850億元(約1.7兆円)、純利益は同5%増の約110億元(約2200億円)と増収増益を確保した。しかし、前年同期の売上高成長率が20%超だったことと比較すると、成長の鈍化は明らかだ。市場関係者の間では、EV需要の減速と競争激化が業績に影響を与えているとの見方が強い。
EV販売不振が直撃、中国市場の飽和と競争激化
CATLの業績鈍化の背景には、世界最大のEV市場である中国での販売不振がある。中国汽車工業協会によると、2025年第1四半期の中国国内のEV販売台数は前年同期比でわずか3%増にとどまり、2024年の同15%増から大幅に鈍化した。中国政府の補助金縮小や消費者の購買意欲低下が要因とされる。また、CATLは中国市場で約45%のシェアを誇るが、競合する比亜迪(BYD)や中創新航(CALB)などが低価格帯の電池を投入し、シェア奪取を狙っている。特にBYDは自社製電池「ブレードバッテリー」を外販し、CATLの牙城を崩しつつある。
欧米市場での逆風、規制強化と地政学リスク
海外市場でも課題が山積している。欧州連合(EU)は2024年から中国製EVに対する追加関税を段階的に導入しており、CATLの電池を搭載したEVの価格競争力が低下している。米国では、インフレ抑制法(IRA)により、中国製の電池部品を使用したEVは税額控除の対象外となるため、CATLの米国市場でのシェア拡大は困難を極める。CATLはドイツやハンガリーに工場を建設中だが、現地生産の立ち上げには時間とコストがかかる。アナリストの一人は「CATLは中国市場の飽和と欧米の保護主義的な政策に直面しており、成長戦略の見直しを迫られている」と指摘する。
株価は年初来で約10%下落、投資家の懸念強まる
こうした状況を受け、CATLの株価は2025年1月の年初来高値から約10%下落し、4月中旬時点で1株あたり約180元(約3600円)で推移している。特に決算発表後は、成長鈍化を懸念した売りが加速した。一方で、CATLは研究開発投資を拡大しており、2025年第1四半期の研究開発費は前年同期比15%増の約50億元(約1000億円)に達した。同社はナトリウムイオン電池や全固体電池などの次世代技術に注力し、競争力の維持を図る。しかし、市場では「技術開発の成果が実を結ぶまでには時間がかかるため、短期的な業績回復は難しい」との声も聞かれる。
今後の展望:多角化と海外展開が鍵に
CATLはEV用電池への依存度を下げるため、エネルギー貯蔵システム(ESS)や船舶用電池などへの多角化を進めている。2025年第1四半期のESS向け売上高は前年同期比30%増と好調で、全体の売上高に占める割合は15%まで上昇した。また、同社は欧米での現地生産体制を強化し、規制リスクを回避する戦略を取る。しかし、競合他社も同様の動きを見せており、差別化は容易ではない。業界専門家は「CATLが世界トップの座を維持するには、技術革新とコスト競争力の両立が不可欠だ」と語る。今後の業績動向は、EV市場全体の回復ペースと、CATLの海外戦略の成否に左右されるとみられる。



