高市政権「高圧経済」成功の条件は円安基調と需要拡大の確信
高市政権「高圧経済」成功の条件は円安基調と需要拡大の確信

高市早苗政権は需要を拡大させることで、人工知能(AI)など国内投資を活発化させて経済成長力を高めようと狙う。米国の有力学者が提唱した「高圧経済論」に基づく世界初の試みだ。成功の鍵は何か。

路線バス運転手不足、自動運転に期待

「今年は10%の賃上げに踏み切った。そうしないと、路線バスの運転手を確保できない」と語るのは伊予鉄グループ(松山市)の清水一郎社長である。清水氏は日本バス協会の会長も兼ねている。

「賃上げだけでは済まない。自動運転システムの導入しかない」と言い、高市成長戦略の柱であるAI活用による自動運転バスの実用化と普及に期待を寄せる。

だが、無人化には多くの関門を突破しなければならない。膨大な運行データをデータセンターに蓄積し、バスに搭載されたAIに読み込ませ、ベテラン運転手並みの技能と動作を習得させなければならない。

中国が先行、国産AIバスは実験段階

先行しているのは中国と米国で、中国では全国50都市以上の自動運転テスト道路で、無人バスが日常的に運行されている。AIバス技術も日本のはるか先を行く。

日本国産のバス車両メーカー2社にはAIバスの製造能力がなく、実験段階から中国製車両を輸入するしかない。

自動運転技術は高市政権が掲げる「危機管理投資・成長投資」17分野のうち「デジタル・サイバーセキュリティ」分野に含まれ、2040年度までの累計約8.2兆円の官民投資をもくろむ。17分野全体では官民で370兆円超の投資を促す。AI・半導体、情報通信、量子、防衛産業、航空・宇宙、造船、合成生物学・バイオ、創薬・先端医療などだ。

競争条件を左右する円相場と需要拡大の確信

財政資金はあくまでも民間投資の呼び水である。民間企業が積極的に新規投資に挑戦する機運を高めないと画餅に終わる。上述の路線バス自動運転の問題点が示すように、中国などとの競争を克服しなければならない。

この競争条件を左右するのは、端的に言えば「円の対ドル相場」だ。同時に、国内需要が中長期的に拡大していくという確信が企業の間に広がることが欠かせない。

その点、戦略分野に限らない幅広い政府の財政政策、それに日銀の金融政策の役割が大きい。