マンションリサーチは7月31日、「価値が残るマンション」に関する調査結果を発表した。2020年1月から2026年6月まで、東京都港区の中古マンション2万8780事例を対象に売出情報を収集し、統計処理を施して集計した。
築浅物件の在庫急増
港区の中古マンション市場を築年別に分析すると、2024年7月以降、築新物件の在庫が急増している。特に2006年以降竣工のタワーマンションの約46%、100戸以上の大規模物件の約36%が在庫増加傾向にあり、供給戸数が多く高価格帯の物件ほど市場に残りやすい傾向にある。
これらのマンションは港区を代表するランドマーク的な存在で、ブランド性や再開発を背景に国内外から投資対象として買われた物件が多く含まれているが、投機マネーによる価格上昇の反動で在庫の積み上がりが顕著となっている。
築古物件は安定
一方、港区の築古マンション市場は築浅物件とは異なる。旧耐震基準の物件では、2023年以降在庫が減少し、低い水準で安定している。近年の新築や築浅中古の価格高騰に伴い、予算内で買える現実的な選択肢として「港区に住みたい」という実需層のニーズが築古へシフトしたことが考えられる。
築古マンションは投機目的の取引が少なく価格が比較的安定しているため、「価格とのバランスが取れているため売れる」という構図が成立している。
1983年から2000年築は安定要因
1983年から2000年築のマンションは、在庫がわずかに増えているものの、増加ペースは緩やかであり、2006年以降築と比べても水準は非常に低く市場の大きな乱れは見られない。この年代は港区の立地価値を備えつつも築浅ほどの高騰はなく、実需と投資のバランスが取れている。
価格変動が小さく幅広い購入層が存在するため流動性も維持されやすい。価格だけが先行して上昇した築浅マンションとは異なり、利用価値と価格のバランスが適正であることが、この年代のマンション市場を安定させている要因と考えられる。
現在のように建築コストが高騰すると、新築では仕様の見直しが増え「築年が新しいから必ずしも品質が高い」とは言い切れない状況となっている。
対照的に2000年から2006年頃は、建築コストが低く供給量も多かったため、デベロッパー間の競争により品質向上へコストを投入できた時代であった。港区市場においては、この時期に供給された物件は流動性・立地・品質・価格のバランスに優れた希少なストックと言える。築年数だけでなく、供給時の建築コストや競争環境を含めて分析することが真の資産価値を見極める鍵となる。



