高齢者が終の住処を求めて集まる「家賃半額の若者同居」アパートの仕組み
高齢者と若者が同居するアパートの仕組み

「終の住処を求めて」高齢者が全国から集まる「家賃半額の若者が同居する」アパートのからくりが話題だ。公開日時:2026/07/20 08:30。モダンな外観が目を引くノビシロハウス(写真:株式会社BAKERU)を運営するのは、フリーライター山本ヨウコが取材した。

高齢者の部屋探しが難しい理由

十分な収入と資産がありながら、ひとり暮らしを望む60代後半の高齢者が部屋を借りられないケースが多い。なぜ高齢者は部屋を借りにくいのか。ノビシロハウスを立ち上げた鮎川さんは、その最大の理由を「孤独死リスク」だと説明する。

「高齢者は社会との接点が少なく、ひとりで暮らしていると万が一のことがあっても発見が遅れやすい。発見が遅れれば部屋の修繕に多額の費用がかかり、資産価値も下がってしまいます。だからオーナーさんの多くは、最初から高齢者の入居を断ってしまうんです」

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保証人がいるかどうか、収入が多いか少ないかという問題ではない。オーナーが高齢者の入居を敬遠するのは、偏見ではなく損失を避けるための判断だ。だからこそ、個別の善意や努力ではなく、仕組みそのもので解決する必要があった。

なぜ普通の賃貸アパートなのか?

高齢者が安心して暮らせる住宅としては、専門スタッフが常駐するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)がすでに存在する。しかし鮎川さんが立ち上げたノビシロハウスは、一般的な賃貸住宅だ。なぜアパートという形態を選んだのか。

「人を常駐させて雇えば、それはサ高住と同じになります。職員を雇うと人件費がかかり、家賃は高くなる。しかも、入居者と職員という関係性しか生まれないので、親しくなって自然な交流にはなりにくいんです」

色使いがポップで見た目にもわかりやすい集合ポスト(写真:株式会社BAKERU)が設置されている。鮎川さんが編み出したのは、高齢者と若者が同じアパートに暮らし、日常の関わりそのものが孤立を防ぐインフラになる仕組みだった。

ノビシロハウスの構造

ノビシロハウスは2階建ての「South棟」と「North棟」で構成されている。居住棟の「South棟」には約20m²のワンルームが8部屋あり、1階の4部屋は高齢者が最期まで暮らせるバリアフリー設計だ。2階の4部屋は全世代対応のつくりで、現在2室に「ソーシャルワーカー」と呼ばれる若者が入居している。

North棟の1階にはカフェ「ノビシロ」、2階には訪問看護事業者(Life&Com)と在宅訪問診療(医療法人社団悠翔会)の拠点が入居している(写真:筆者撮影)。

若者と高齢者、双方にメリットができる仕組み

若者は家賃が半額になる代わりに、高齢者の見守りや日常的な交流を行う。高齢者は孤独死リスクが減り、若者との交流で生活に張りが出る。この仕組みにより、オーナーも空室リスクを減らせる。

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