政府の地域未来戦略に基づく「地域産業クラスター計画」で、長崎県が提案した「海洋関連産業領域」が選定された。県内の造船や洋上風力発電に関わる企業と協力し、官民合わせて5年間で700億円の設備投資を目指す。県内の基幹産業である造船業を中心に、防衛産業とエネルギー分野を加えた3分野を対象とする。
計画の概要と背景
高市内閣が7月に策定した地域未来戦略は、石破内閣の「地方創生」を引き継ぎながら、経済や産業の活性化に重点を置く。国と都道府県が連携する「戦略産業クラスター計画」、都道府県や政令指定都市が主導する「地域産業クラスター計画」、市町村主導の「地場産業成長プラン」で構成され、予算を確保して集中投資を進める。
地域産業クラスター計画は9月時点で、全国で千葉県や徳島県など約50件が選定されている。九州では、福岡県北九州市の「フィジカルAI」や熊本県の「半導体」などが選ばれている。
長崎県の計画内容と目標
長崎県は、基幹産業として地域経済を支える造船業に注目。米海軍や自衛隊の艦艇修繕を行う防衛産業と、五島沖での商用運転が始まった洋上風力発電などのエネルギー分野を加えた「海洋関連3分野」を対象とした計画を作成した。
計画の趣旨に賛同した大島造船所や佐世保重工業など28社の協力を得て、今年度から5年間の目標として、700億円の設備投資や、同期間で800人以上の新規雇用を掲げた。目標の達成に向けて、造船・防衛産業では、過去最高だった2010年度の5500億円を上回る売上高を目指し、エネルギー分野では、国内外の需要に応える量産体制を構築する。
支援制度と今後の展開
県は、民間企業の設備投資を促すための補助金などの支援制度を創設しながら、道路や岸壁などインフラの整備にも取り組む。各企業がつくる協議会や県内の大学と連携して、各産業で必要な人材の育成・確保も進めるという。
平田知事は9月の県議会一般質問で、半導体、航空機産業、食の輸出の分野でも同計画を策定する方針を明らかにし、四つの計画で総額1300億円程度の設備投資につなげるとした。平田知事は「『地域経済の基盤をつくる』ためには、産業の稼ぐ力を強化していくことが重要。計画を着実に実行し、地域経済の活性化を図りたい」と述べた。