三菱重工CFOが語るガスタービン事業の成長戦略:AI電力需要で2030年300台超へ
三菱重工CFOが語るガスタービン事業の成長戦略

三菱重工業(以下、三菱重工)は、AI(人工知能)の普及に伴う電力需要の急増を追い風に、ガスタービン事業で大きな成長を見込んでいる。西尾浩CFO(最高財務責任者)は、2030年までに累計販売台数300台超を目指す成長シナリオを明らかにした。本稿では、ガスタービン需要の見通し、アフターサービス投資の規模、防衛・AI分野の次の一手について、西尾CFOへのインタビューを基に詳報する。

大型ガスタービン需要の見通し

三菱重工は、AIデータセンターの増設に伴う電力消費の拡大が、大型ガスタービンの需要を押し上げると分析している。西尾CFOは「AI向け電力需要は今後10年間で現在の約2倍に増加する」と予測。これに対応するため、同社は高効率なガスタービンの供給体制を強化している。特に、JシリーズやM501JACといった最新鋭機種は、従来比で発電効率を向上させており、顧客からの引き合いが強いという。

「2030年までに累計300台以上の販売を見込んでいます。これは現在の販売ペースを大きく上回る数字です」と西尾CFOは語る。同社は2025年度までに約200台の販売実績を積み上げており、残り5年で100台以上の追加販売を計画する。この目標達成には、北米や中東、アジア市場での需要取り込みが鍵となる。

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アフターサービス投資の規模

ガスタービン事業の収益性を高める上で、アフターサービス(保守・点検・部品交換)の拡充は不可欠だ。三菱重工は、2026年度から2030年度までの5年間で、アフターサービス関連投資に総額約2000億円を投じる方針を示している。この投資は、遠隔監視システムの高度化や部品在庫の最適化、人材育成に充てられる。

「アフターサービスは安定した収益源であり、顧客との長期的な関係構築にも寄与します。特に、新興国では保守ノウハウの提供が差別化要因になります」と西尾CFOは説明する。同社は、ガスタービンの稼働データを分析し、故障予知やメンテナンス計画を提案するデジタルサービスにも注力。これにより、顧客のダウンタイムを削減し、サービス収入の拡大を目指す。

防衛・AI領域の次の一手

三菱重工は防衛銘柄としても注目を集めるが、2026年度の防衛・航空分野の受注高は前年度比で減少する見通しだ。このニュースを受け、株式市場では一時的に手じまい売りが発生した。しかし、西尾CFOは中長期的な成長に自信を示す。「防衛分野は依然として重要な柱ですが、ガスタービンやAI関連事業の成長で補完します」と語る。

AI領域では、発電所の運転最適化やデータセンター向け電源ソリューションの開発を進めている。具体的には、AI制御によるガスタービンの燃焼最適化技術や、再生可能エネルギーと組み合わせたハイブリッド発電システムの実証実験を開始している。「AI需要そのものがガスタービンの市場を拡大するだけでなく、自社のAI技術も磨いています」と西尾CFOは強調する。

三菱重工は、2026年度の連結営業利益目標を5000億円と設定しており、ガスタービン事業の拡大が収益牽引役となる見通しだ。同社の株価は、防衛需要の一巡懸念から調整局面にあるが、ガスタービンの成長期待が再び評価される可能性がある。

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