備蓄米買い戻し決定、コメ農政の迷走止まらず 生産基盤の強化が急務
備蓄米買い戻し決定、コメ農政の迷走止まらず 生産基盤の強化が急務

コメの歴史的な価格高騰が問題になっていたのに、今度は価格の急落を懸念する農家の声が目立つ事態となった。農林水産省によるコメ農政の迷走は甚だしい。消費者と農家がともに納得できる価格となるよう、政府は生産基盤の強化策を後押ししていかなければならない。

備蓄米買い戻しの背景

政府は月内に21万トンの備蓄米を買い戻すことを決めた。適正な在庫水準は国民の2か月程度の消費量に当たる100万トン程度だが、大幅な価格高騰を受けて昨年、備蓄米を放出し、在庫が32万トンに低下しているためだ。

食料安全保障の観点から、過少な在庫水準を放置しておくのは望ましくない。備蓄米を買い戻すこと自体は妥当である。ただ、今年に入りコメ価格が大幅に下落し、農家から買い戻しを求める声が強まったことに配慮した面も大きいのではないか。

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需給見通しの誤りが招いた価格変動

こうした事態を招いたのは、農水省の需給見通しが外れ続けていることに原因がある。2022年産から24年産は、インバウンドの需要などを見誤り、3年で計約100万トンのコメ不足を招いた。

この結果、コメの価格が上がり、農家の作付けが増えるなどした結果、今度は25年産と26年産が大幅な供給過多となった。コメの平均価格は年初に5キロ・グラム約4400円だったが、現在は3000円程度に下がった。

それでも家計には負担の重さを訴える声が強い。高価格を維持して消費者軽視の農政と受け止められれば不満も強まろう。一方、農家が資材価格の高騰に苦しむ実情に目を向ける必要もある。コメ価格が下がりすぎて離農が増えればコメ生産が減り、食料安保上のリスクになるからだ。

政策転換の混乱と今後の課題

石破前首相は昨夏、それまでの事実上の減反政策を見直し、増産路線へと転換する方針を打ち出した。ところが、高市政権で就任した鈴木農相は一転して元に戻して増産方針を転換した。

今年成立した改正食糧法にも、減反の決まり文句である「需要に応じた生産」を明記した。価格に「コミット(関与)しない」と主張しながら、減反によって結果的に高値維持、というのでは、生産者も消費者も戸惑うばかりだ。

高市首相の主導で、コメ農政の改革を進めてはどうか。コメ農政には、生産の大規模化やIT導入による効率化、輸出促進など取り組むべき課題はたくさんある。正攻法で生産基盤の強化と価格の安定を図るべきだ。

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