ENEOS Powerは、9月9日から11日まで開催された「[国際]スマートグリッド展(SMART GRID EXPO)」に出展した。ブースでは、系統用蓄電池を中心としたVPP(バーチャルパワープラント)事業の取り組みを紹介した。
蓄電池の実績と運用体制を紹介
ブースでは「お客さまの蓄電池の収益最大化を目指します」「手間のかかる市場取引は当社にお任せ」と、VPP事業の提供価値とENEOS Powerが担う役割を整理。「ENEOS Powerが選ばれる理由」として、蓄電池の運用実績、AIとトレーダーを組み合わせた運用体制、25年以上にわたる電気事業の実績を紹介した。
ENEOSグループでは現在、ENEOS PowerとENEOSリニューアブル・エナジーの合計で約257MW/623MWhの蓄電池リソースを運転・計画中。内訳はENEOS Powerが約209MW/417MWh、ENEOSリニューアブル・エナジーが約48MW/206MWh。
主な案件には、2024年3月に運転を開始した室蘭の系統用蓄電池(50MW/88MWh)のほか、建設中の千葉(100MW/202MWh)、9月8日に開発着手を発表した静岡(50MW/109MWh)などがある。需要家の施設に設置する蓄電池や、九州エリアのFIP転太陽光発電所に併設する蓄電池も手掛けている。
AIとトレーダーの「人馬一体」運用
蓄電池の運用では、AIを活用した最適化システムと、電力市場に精通するトレーディングチームを組み合わせる。最適化システムは需給調整市場や卸電力市場などの予測をもとに、入札や蓄電池の充放電計画を作成。需給調整市場への入札・応動を考慮してSoC(充電状態)を回復する時間帯を設定するほか、卸電力市場のスポット価格が高いと予測した時間帯には余剰分を放電し、値差による収益獲得を図る。
トレーディングチームはスポット価格の予測・実績、発電情報、電力先物価格、気象データなどに加え、電源脱落や天候急変、市場心理・トレンドなどを踏まえて運用計画を補正する。実際の市場運用で得たトレーダーの知見をアルゴリズムへ反映する仕組みも採用しており、ブースでは「AIと人による『人馬一体』の蓄電池運用体制」と紹介した。
顧客所有の蓄電池運用サービスと家庭用蓄電池
自社・グループでの運用ノウハウは外部向けサービスにも展開する。顧客が蓄電池の建設・保有・保守を担い、ENEOS Powerがアグリゲーターとしてオペレーションや同時同量対応などを担当する仕組みを紹介。市場ルールの把握や各市場への申し込み、価格予測、入札価格・入札時間帯の検討、充放電計画、蓄電池への制御指令、調整力指令への応動、市場との精算などを担い、得られた収益を顧客とシェアする枠組みだ。
この枠組みの事例として、2026年3月にMIRAI東京蓄電との間でアグリゲーター業務受託について基本合意したことを発表している。この蓄電池の運転開始は2029年度の予定だ。
家庭用蓄電池の遠隔制御と「ENEOSでんき」「ENEOS太陽光買取サービス」を組み合わせたサービスも展開中。パネルでは、将来的には容量市場や需給調整市場などへの供出を行い、市場取引による収益の一部を利用者へ還元するスキームも検討していると記載された。
電気事業の歴史と制度形成への関与
ENEOSの電気事業は、ENEOSグループが1998年に開始した電力会社向け卸供給にさかのぼる。2003年に新電力事業、2016年に「ENEOSでんき」、2019年に卒FIT買取サービスを開始し、2024年4月にENEOS Powerを設立。現在は発電・販売一体モデルをベースとする小売電気事業に加え、VPP、都市ガス、海外再生可能エネルギー事業を展開し、2026年4月からはENEOSリニューアブル・エナジーとの一体運営体制に移行している。
経済産業省の「次世代電力系統WG」「分散型エネルギー推進戦略WG」などへの参画や、エネルギーリソースアグリゲーション事業協会などでの活動を通じ、蓄電池やVPPに関連する制度・ルール形成にも関わっている。ブースでは1日に数回、VPP事業について紹介する10分ほどの講演も行われた。



